うづめのおうちづくり
「チュン!」
「あ、無事に入ってくれたね。あったかいかな?」
「チュン!」
こんにちわーに。アザラシのフクだよ。
あのね、我が家にやってきてくれたスズメのうづめちゃん。
とってもカワイイんだけどね、シッポと脚がフェルトみたいな素材になっていて、ちょっと繊細そうなんだ。もし骨折しちゃったらどうしよう、取れてなくなっちゃったらどうしよう、って少し心配なの。
特にね、わたしたち、いろいろなところへお出かけするのが好きだから、どうやったらうづめちゃんも一緒に安全に移動できるかなぁってリンくんと相談したんだよ。
「ねぇ、リンくん、うづめちゃんのおうち作ってよ。」
リンくんにお願いしてみた。
「うづめのおうちかぁ。おうちになるかわからないけど、ガード的なものは必要だもんね。よっしゃ、マフラーも編んであげたいし、いっちょ考えてみるか!」
さっそく駅前のショッピングモールへ買い出しにいったリンくん。ぬいグッズ豊富なセリアさんで、ぬいぐるみ用シュラフなるものと、毛糸を買ってきた。
「うぅむ。とりあえず、このシュラフでシッポは守ってあげられそうだよね。ちょっとサイズが大きいから、スポッと抜けちゃいそう・・・というわけで、カバー的なものを編んであげようと、思う!」
「おおおー!リンくん、編み物久々じゃない?できるの?」
「簡単なやつしかできないけどさっ、どうにかなるでしょ。」
あみあみあみあみ
あみあみあみあみ
あみあみあみあみ
・・・
リンくん、パソコンも放置して、鼻メガネでずっと編み棒を握ってる。
あみあみあみあみ
あみあみあみあみ
あみあみあみあみ
・・・
「ン?なんか、幅が足りないかも。あー、うーん。まぁ、いいか。しょうがない。コレでなんとかしよう。」
あみあみあみあみ
あみあみあみあみ
あみあみあみあみ
・・・
「む。できた。とりあえず、できた。幅は伸ばせないから、うづめのマントみたいになった。ま、それもいっか。」
「リンくん、適当だね。」
わたしがごく一般的な感想を言うと、リンくんはこう答えた。
「適当でもなんとかなったでしょ?ホラ!」
そう言ってリンくんはうづめちゃんを呼び寄せると、編み上がったばかりのマントをかぶせて、シュラフの中に入るよう、うながした。
アラ、不思議。ホント、なんとか、なってるのよ。
一応リンくんの言い訳を聞いたところによれば、ホントはぐるっとシュラフの入口全部をおおって縫い付けられるくらいのサイズにしたかったらしいんだ。だけれど、二目ゴム編みってやつで編んだら思っていた以上に伸縮して、結果足りなくなったらしい。
「うづめ、けっこうまるまるしてるからね。」
「あ、フクと一緒!フクも一緒!まるまる!」
アハッ。
そんなわけで、うづめのお出かけ用おうちが完成しました!
まだバージョン1なので、そのうちグレードアップするかもしれないけれどね。
「見て見て!うづめ、おうちができたよ!」
今日はテレワークのケンイツエンチョー、おシゴト部屋に見せに行くと、ひとこと。
「うづぅ、お前さん、過保護にされてるなぁ!良かったなぁ。」
(なお、ケンイツエンチョーはさっそくうづめの”め”を省略して、うづ、と呼んでいる。そしてときどきすずちゃんの”すず”と言い間違える。むぅ。)
「チュン!」
「スズメさんは越冬できる個体はほんのわずかなんだってさ。だから、これくらい、暖かく過保護でもいいじゃない?ね!」
「チュン!」
さぁ、これで、いっぱいお出かけできるね!
うづめちゃんとのお出かけが楽しみだなぁ!
フク(鰒太郎)