すずより高いこいのぼり

「んー?この影、なーんだ???」

「おわぁ???アッリンくんやめてー!すずの後頭部撮ったら、かわいいおハゲちゃんが見えちゃうぅぅぅ!」

「かわいいかわいい。ダイジョブダイジョブよ。」

アハッ!
ウサギのすずこと、鈴之助だよ!

今年もね、ゆらゆら橋のこいのぼりに会いに来たよ。
ゆらゆら橋っていうのはね、その名前の通り、ゆらゆら揺れる吊り橋で、この町の中心を流れる川にかかっている、ちょっとした憩いのスポットなの。

ゆらゆら橋の上を一歩一歩、リンくんに抱っこされて歩く。川向こうからもちびっこ連れやワンちゃん連れの人たちが渡ってくるから、終始ミシミシと揺れている。

「ホントはね、すず、フクにこいのぼりを見せてあげたいの。フク、見えてるぅ?」

「すずちゃん、すずちゃん、見えてるよ。バッグのなかからちゃんと見てるからね!」

すずのコンビの相棒、フクこと鰒太郎は去年の6月に我が家に仲間入りしたから、初めてのゴールデンウィーク、初めてのこいのぼりなんだ。だから、そんなフクのために、こいのぼりを見せてあげたくて、みんなでやってきたんだ。

「フクをお外に出してあげたいのはやまやまなんだけど・・・フクはぷくぷくでまぁるいから、わたしの手から滑り落ちて川に飛び込んじゃったら大変でしょ。あ、それとも、こいのぼり見て、食べられるお魚だと思ってかぶりついちゃったら、それも大変・・・!だから、フクは今日は静かにバッグの中から見ていてね。」

リンくんが申し訳なさそうに言った。

「わかった!すずがフクの分も見て、仲良しテレパシーで、ぴぴぴぴって伝えてあげるぅ!ぴぴぴぴぴ!」

「すずちゃん、ありやと!すずちゃん、だいすき!」

フクの明るい声が、ケンイツエンチョーが抱えるバッグの中から聞こえて、ちょっと安心した。

「あぁれぇれれれ?去年はいた、うなぎのぼりさんが見当たらないなぁ。」

確か去年来たときには、こいのぼりのなかにうなぎの形の吹き流しが混じっていたはずなのだけど、どうやら今年はいないみたいだ。

しかもね、よく見たら、なんだかこいのぼりさんたち、クルクル巻き付いたり、引っかかったりしてる。

どうやら昨日の強い風で、めっちゃくちゃに遊んじゃったみたいだよ。今は風は穏やかなんだけどなぁ。

ちょっとオナカが切れちゃってるコもいたりして、少し痛々しい。

「ちょっと数減ったかなぁ・・・?」

リンくんもケンイツエンチョーともぞもぞと話をしている。

それでもね。

「すずよーりーたーかいーこいのぉぼぉりぃー!!!」

そのカラフルなうろこを堂々と披露して、この青い空を、おっきく高く立派に泳げーーー!

パタパタパタパタ!

ぴぴぴぴぴ!

「すーずちゃーん!テレパシー受け取ったよぉー!ぴぴぴぴぴ!」

すずがフクとテレパシー遊びをしていたら、
河原の野球場の方から、トランペットの音色が聞こえてきた。少し哀愁を帯びている抑揚のある演奏だ。

この川は、いつだってこの町の憩いの場所で、美しい景色を見せてくれるよね。
来年もまた、元気なこいのぼりの川流しが見られますように!

すず(鈴之助)

「ゆらゆら橋でゆーらゆら」
https://bobingreen.com/2022/05/05/1870/

※2023年の「こいのぼり大遊泳」は終了しています。
令和5年 八千代ふるさと親子祭「こいのぼり大遊泳」 / ここシルやちよホームページ
https://home.yachiyo.kokosil.net/ja/archives/3736

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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