ゆらゆら橋でゆーらゆら

おはーに！

ボブおでーす。ボブぞでーす。

キンキラキンキラ！ゴールデンウィーク！今日は、何して遊ぶー？？？？

おーっし！みんな！
今朝は早起きできたな！天気もばっちりだな！
行ってみっか！こいのぼりー！

いやったー！
こいのぼり♪こいのぼり♪
おっさかなー♪おっさかなー♪

今日の目的地は、通称、”ゆらゆら橋”。

この町のシンボルであり憩いの場になっている川沿いで、ゴールデンウィーク中にこいのぼりの川渡しイベントをしているらしいの。

まだ朝8時すぎ。最寄駅の目の前のコンビニでおにぎりをひとつ買って、パクパクと腹ごしらえをする。大きな国道の横断歩道を渡って、テクテクと10分ほど行くと川が見えてくる。

おれらの暮らすエリアからこの川までは歩いて来ることもできないわけじゃないけれど、今朝は電車に乗ってやってきた。リンくんが、ワクチンチクンの副反応からまだ完全には復活していないからだ。

そもそも、我が家は前もって遊ぶ計画を立てるのが結構ニガテ。
だって、その日のお天気だって直前までわからないし、その日にしたいことや食べたいものだってわからない。何よりも、リンくんの体調が整ってるかどうかでも左右される。おれらは楽しいことが大好きだから、もし予定を決めちゃうと、ワークワークワークワクー！と眠れないくらいにコーフンしちゃうし、それがもし立ち消えにされると、シクシク・・・つまらないよーって落ち込むし。とにかく、大概のことはリンくんにブンブンにふりまわされる。

だから、何か月も前から旅行の計画を立てる、とか、何かのイベントのチケットを予約する、とか、そういったことはなかなか至難の業だ。というか、もしそうだとしたらキャンセルする覚悟がないと手が出せない。

そんなボブ家は、ゴールデンウィークといえども、毎日その日暮らしの遊び方をするのだ。

わぁぁぁぁー！

思ってたより、いーーーっぱい泳いでる！

30？いや50？いや、もっといるかな？すごいね。

大きいも小さいも、赤いも青いも黒いもみーんな揃って、青空のもと、ゆーらゆーら泳いでる。早朝の空はすっきりと抜けていて、川上から吹いてくる風にのって、大きく口を開けて、ふぉーって顔をしている。

ひとつひとつ見ていくと、見慣れない色の吹き流しがいた。

にょろにょろにょろにょろ。

ン？ねぇねぇ、リンくん。あれ、なんだろう？

いわゆる吹き流しのようにカラフルではなく、茶色とベージュのツートンカラーと、かなり地味な見た目ではある。しかも小さな丸い目のようなものもみえる。他のこいのぼりに比べて、圧倒的に身体が細くて、長さは結構ある。

・・・どじょう？いや、うなぎだ！！！

おおおー！うなぎ！うなぎ！おれ、うなぎ好きっ！

あはは、ボブおはおさかなが好きだもんねー。

しかしなんでうなぎ？？？土地柄うなぎが有名とかならわかるけど、まさかそんな話聞いたこともない。

（あとから調べてみたら、このイベントは別名「景気うなぎのぼり」というらしい。全国各地いろいろなところでこいのぼりの川渡しの話は聞くけれど、うなぎさんが交じってるのが、我が町なりの工夫なのかもしれない。）

キャッキャキャッキャとみんなでゆらゆら橋の上で、真下のアングルからこいのぼりたち（とうなぎ）を眺めていたら、橋向こうからワンちゃん連れのおねえさんがやってきた。

ゆっさゆっさゆっさゆっさと橋が揺れる。

“ゆらゆら橋”って、そういうことなのか・・・！吊り橋なんだね。

ゆっさゆっさゆっさゆっさ・・・・

ゆっさゆっさの揺れがだんだん大きくなって近づいてきたと思ったら、空を見上げていたおれらの横でおねえさんが止まった。

ジーッ・・・・！！！（ワンちゃん、しっぽフリフリフリフリ！）

ジーッ・・・・。。。（固まる、うちの鈴之助）

あ、すず！

うちのすずが、おねえさんのワンちゃんから興味を持たれて、ジーって見つめ合っていた。

アラ、すみません、人が好きなものでー。

あぁ、いえいえ！

ワンちゃんのおねえさんが、うちのエンチョーにご挨拶してた。その姿はまるで、カイヌシ同士のオトナの会話のようで、なんだかおれはちょっと恥ずかしくなった。

むぅ。おれらはペットじゃないもん・・・。おれら、ヒャクジューのオーのライオンだし、自立した存在だもん。でも確かに、エンチョーがいないと、なんもできないし、どこにもいけないよぅ・・・。・・・もっともっとおニーさんになったら、ひとりで歩いたり、できるようになるのかなぁ・・・。もっともっといろんなこと経験したら、もっと上手にことばをあやつることができるようになるのかなぁ・・・。

ゆらゆら橋の上で、ゆっさゆっさ揺られながら、ゆーらゆーら、ふぉーって顔で泳ぐ数十ものこいのぼりと、ひょうひょうとにょろにょろしてるうなぎをぼんやり眺めながら、またひとつおニーさんになるということに思いをはせた。

ボブお