中身はどこいった
ふと目を開けると、茶色いちいさなモコモコが動いているのが見えた。
ころすけが、毛皮を脱ぎ脱ぎ。
ん?え?
おどろいて起きようと思っても身体が重くて動かない。
視線を少しずらすと、
ぺったんこになった毛皮がきちんと半分に折りたたまれて、そこにある。
あれ、中身はどこいったのよ?
ころすけ・・・?
ああ、私、ころすけに綿をつめるのかぁ。そんなことを思いながら、折り目正しい毛皮を横目に、ころすけのための新しい綿をモソモソとさがす。
いや、私の身体は動かないのだ。意識のはっきりした無意識の中で、綿を探した。
できるだけフワフワで、どんな形にも変わることのできる、すてきな綿を入れてあげたいと思った。できるだけやさしくて、たくさんの感情を吸い込む出来ることのできる、柔らかな綿をいれてあげようと思った。それでいて、肝がどっしりと据わっていて多少のことには揺らがない綿もいれてあげよう。ついでだから、赤いポロシャツが似合う、遊び心のある小粋な綿も混ぜちゃおう。
それが、ころすけだからだ。
そんなことを考えていたら、急に身体を動かせるようになった。
夢だった。
・・・ハァ。
布団から出て、すぐにころすけの様子を見に行くと、いつもの定位置で、ニヤリと笑う小さなクマがいた。
それが、ころすけなのだ。
中身はどこいった?
リン