桜もちの木
フワリフワリ。
フワリフワリ。
私のほほを、風に舞う花びらがかすめていった。
ボブこよ。
桜のつぼみが開いてから、1週間と3日ほどが過ぎた。それからというもの、鳥たちがさえずるほんわかと暖かな日もあれば、冬に逆戻りしたかと思うくらいに凍える日もあった。春の嵐の日もあった。今朝はというと、曇りがちではあるけれど、青空がのぞいていて、でも少し風の動きを感じる陽気。
そろそろ桜も終わりかねぇ。歩道橋渡ってさ、裏の公園、見に行ってみようぜ。
ケンイツエンチョーに誘われるがまま、寝ぼけまなこで朝のお散歩に出た。
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みどりテラスの裏にある小さな公園には、大きな古い桜の木がある。太い幹と地面に向かって思い枝を垂れ下げているソメイヨシノが何本も。もう満開を過ぎ、うすピンクの花びらは土と芝と野草でおおわれた地面にそっと着地していく。このままじゅうたんを作り上げるのだろう。
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その中に、一本、ひときわ色白の花を咲かせ、角の立った淡い緑色の葉をたずさえている子がいた。
クンクン。クンクン。
あら?桜もちの香り!
しっとりとした美しい皮目とやわらかで上品なこしあん。その上に深い緑色の塩漬けの桜葉の風味・・・。あぁ・・・食べたーい。
もう、食いしん坊なんだからー!
ウフフ。桜もちの木、だね。
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もう一度、香りをかいでみようと近づくと・・・。
クンクン。クンクン。
・・・あれ?んー、あまり感じない。
香りをかごうとすると逃げていくのかな?風にのって自然と香ってくるくらいの気まぐれさが、いいね。
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あぁ。桜も今週末で終わりかなぁ。今年も楽しい桜をありがとう。
ねぇねぇ、ところで、お願いがあるんだけど?
なぁにボブこさん?
全部花が散ってしまう前に、桜もち、もう一回食べよ?
うん!じゃぁ、米屋さん、買いに行こうか。
うふふ。うふふ。
フワリフワリ。
フワリフワリ。
ボブ子
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