みずべのいきもの
・・・パシャパシャパシャ。
・・・パシャパシャパシャ。
パタパタパタパタ。プルルっ。
ちリンちリン。
フーっ!
きょうの水浴びしゅうりょうー。
トントン!トトトとトンっ!
こんちは!
わっし、かんくろ、といいます。勘九郎、です。エンチョーから、数字の9をもらいました。
ボブ家のみなさんとの出会いは、突然でした。
ある日、みどりキャンプ場の丘のふもとで、芝の上にコロン、と横になって遊んでました。ちょっと曇った日で。のどかな場所ですから、今日もヘイワだなーってパタパタ遊んでたんです。
それなのに。それなのに。
気がついたら、ゴミ集積場の横にいました。誰もいない。
あれ?誰かいますかー・・・?
あのー。誰かいますかー?
・・・
うう、誰もいないみたいです。
ぱた、ぱた。
はた。
は、た。。。
さみしい・・・。
なんだかしばらく意識を失ってたみたいです。
気がついたときには、いっぱい水を浴びせかけられてました。モコモコの白い泡の中で、気が付きました。
あー、水ってキモチいーなー。
純粋に、生き返った感じがして、幸せでした。
パシャパシャ。ちょっと羽根を動かしてみました。
目の前には、知らないネーさんがいました。
パシャ。
ちょっと右手あげてみました。
やぁ、って言ったつもりでした。
モコモコワシワシゴシゴシ。ネーさん、力強いよ。もうちょっとやさしくしてー。
パシャ!
あら!やぁ!
ようこそ!ここはボブ家のおうちだよ。よかったら、今日からオハナだよ。
パシャ?
あとからわかったことは、
わっしはゴミ集積場の横でさみしそうにコロンと横たわって気を失っていたところに、ランニングに行こうとしたケンイツくんとリンくんが通りかかったということ。
偶然にもリンくんがわっしの存在に気がついて、保護してくれたということ。
ランニングから帰ってくるまでの少しの間、郵便ポストにかくまってくれたということ。
もしかしたら、この子どこかのお家のオハナで、探してる人いるかも?ってなったこと。
しばらくしても、尋ね人のポスターやチラシはなかった。
リンくんの手作りの、鈴のついた首輪着けてもらって、晴れて正式にオハナとなりました。
名前は勘九郎。名付け親はケンイツエンチョー。
みどりキャンプ場の水辺で、よく水浴びしてます。
以後お見知りおきを。
パシャパシャパシャ。
勘九郎。