リンくん「絵を描く」!(第6回)

「うううー!まさかの5時間超え!最後の最後、右手でほんっとに苦労した。」
夕方7時を過ぎて、ようやく筆を置いたリンくん。いつもならそろそろ晩ごはんの支度を終えてシャワーを浴びる頃なのに、食卓の上はパレットやら筆洗いのバケツやらで散乱している。
オトモダチのみなさん、こんにちわーに。
おっす!オラ、パブロヲ!
うちのリンくんが絵に挑戦するこのシリーズ、「リンくん『絵を描く』!」もいよいよ第6回。この4月から放送しているNHK Eテレの番組、「3か月でマスターする 絵を描く」に沿って、毎週課題を描いているよ。
オラは誰かって?
オラは、我が家のゲージュツガクブ(芸術学部)の部長、ハシビロコウのパブロヲ!
オラはパブロ・ピカソ画伯からお名前を拝借してパブロヲってんでい。お絵かきはオラの得意分野なのさ。
第6回 バランスの良い人物画~顔より脚?~
前回は風景画や静物画にチャレンジしたけれど、いよいよ今回は人物画!
人物画といってもバストアップの肖像画ではなく、全身をバランスよく描くことにチャレンジするらしい。
テレビ番組内では、柴崎春道先生がMCで生徒役の山之内すずちゃんの写真をスマホで撮影して、その写真をもとにすずちゃんをモデルとして作品を描いていたのね。
だからてっきりテキストにも山之内すずちゃんの写真がサンプルで載っているのかと思ってパラパラとめくっていたら・・・アレ?違った!
考えてみれば、これまでもテキスト内ではすずちゃんに関する記述や写真はなくて、柴崎先生のみ。というわけで、人物画のモデルは、グリーンのレギンスとスポーツブラを身に着けた、スポーティーなアクティブねえさんを描くことになったよ。
「ふぅむ、まずは人物画のバランスを知るところから。」
リンくんは本番用の画用紙ではなく、らくがき帳を引っ張り出してきて描き始める。
人物画はまず、その人が立っている位置、つまり足元の位置を決めるところから始めるらしい。
「えー!確かに、盲点だったかも。これまで絶対アタマから描いてたし、アタマの大きさ、これくらーい?みたいな感じで適当に描いてたよ。」
それが、柴崎先生流は、どうも違うらしい・・・。
足元の位置を決めて、そこから、その人物の背の高さを決める。その長さを2等分したところが足の付根の位置になるそうだ。
「ふんふん、それでそれで?」
2等分した下半分、つまり下半身をさらに半分にした位置がヒザ。上半身を半分にした位置はバストトップになるらしい。
「ほぉぉぉ!ほぅほう。それっぽい!」
胸から上の4分の1のだいたい半分がアタマで、アタマは卵型に。
「つまりコレが8頭身ってことだ!」
実際に8頭身かどうかは別として・・・、そうやって描くとカッコよくバランスのいい人物画になるってことだね。
そんなこんなで、人物画のバランスを鉛筆で描いてみたのがコチラ。

そして、本番に突入。テキストのサンプル写真を眺めつつ、改めて描いてみる。
「足の位置を決めて、背を決めて・・・。半分にした位置が足の付根、ヒザの位置、胸の位置が決まって・・・。えーっと、アタマは卵型。」
フフッ!リンくん、ブツブツ言いながら真剣に描いてらぁ!
サンプル写真のおねえさんは少しカラダの向きがナナメになってるので、それに合わせて中心線も少しずれる。それから右手をクィっと腰に当てているのもポイントだ。
「うーん、うーん。こんな感じ?」
下絵ができました。うん、なんだか、悪くなさそう!スタイルのいいおねえさんが描けました。

さぁココからが色塗り!人物が生き生きと見えるように、色を塗っていくよ。

「肌の色・・・とひとくちにいっても、肌色なんてものは千差万別だし、やっぱり光の部分と影の部分があるのか。」
暗い部分は青っぽく、明るい部分は、黄色や白っぽく、というのは第3回で樹木を描いたときと同じ発想。だけど、ニンゲンには血が通っているから、赤みを加えて少し血色を足すのがコツらしい。
「うぉー!柴崎先生の説明、わかりやすい。理にかなってる!」
そして、グリーンのスポーツウェアの部分も同様の発想で、暗いところ、明るいところを塗り分けていく。
顔は目鼻立ちは書かなくてOK。この辺が目かな?くらいですこぉし光と影を足すだけで良いらしい。髪の毛もなんとなーく、髪の毛かな?くらいで、先生いわく「さらっと」。描き込まないことがポイントだって。
「ほーそれっぽい!」
さぁいい感じになってきたよ!
というところで、リンくんがさじを投げそうに・・・いや、筆を投げそうになる部分が一箇所あった。
「どーしよ・・・パブロヲ。ねぇさんの右手が描けない・・・!」
「右手?あぁ、腰に手を当ててるところか。」
「そう。写真を見てもうまく再現できないし、テキストに載ってる先生のサンプル作品はなぜかポーズが逆なのよっ・・・。困った、困った・・・。」
手指のいっぽんいっぽんを描く必要はないんだろうけれど、どうも手の位置がおかしい。どうしたら腰に手を当ててるように見えるのか・・・。
描いては消し(失敗した部分が乾いてから、絵の具を上塗りし、それが乾燥してから再度描くこと)描いては消し・・・を繰り返して、もうやめちゃおうかと集中力が切れたところで、いったんリンくんとコーヒーブレイク。
焦ってくると、絵の具が乾くのを待つ時間も惜しくなって、それでまたぐちゃぐちゃになるんだよね。
そうこうしているうちにパレット上の絵の具も乾き始めちゃう。アクリル絵の具は乾くのが早くていいけれど、こういう場面ではかなり焦るね。

なんどもなんどもサンプル写真を見返して、ドコに光が当たっているか、影になっているか、もう一度確認して、筆を動かす。
「あ!リンくん、それっぽく見えるよ?」
「ホント?あ、そう?じゃぁ、コレで!完成ってことでー!」

フゥ・・・!なんと下絵を描き始めてから5時間!背景もないから作品はとてもシンプルだけれど、とても苦戦した一枚でした。
「いやぁぁぁぁ何度消して描き直したことか!でも、なんとかなった、なんとかした。」
画用紙をよぉく見るとね、おねえさんの右手のところだけ、紙が盛り上がってるよ。リンくんが何回も何回も塗り重ねたからね。アクリル絵の具はデコボコするテクスチャーになるのもいいところだけれど、正直、今回に関しては、産みの苦しみの勲章みたいなものかもしれないね。
「はぁぁぁ。どーでしょ?パブロヲ、講評をお願いします。」
うむ。苦労して最後までよく集中力を切らさず描き切ることができました。
柴崎先生の言ってた、かっこいい人物を描く、は実現できた気がする。
脚が大事、足が大事。地面にしっかり立ってるし、曲線美っぽく見えてるぞ?アハッ!

「うんうん。いやー、苦労した。けど、描き上げた後の達成感と高揚感はいいね。ゾクゾクする!」
オラもびっくり。そして、描き終えたリンくん、疲れ切ってるけれど、ニコニコしてて嬉しそうだ。良かったな。
「あとはこのモデルのおネーさんくらいスタイルがよくなれたらいいのにねー!」
食卓の上をお片付けをしながら、リンくんがつぶやいた。
だから、オラ、言ってやったんだ。
「それなら、今すぐ筆を置いて、ダンベルに持ち替えて、走りに行けよっー!」
あっははは!
せーのっ!「絵は、楽しーいっ!」
第6回の課題「バランスの良い人物画」も、なんとか無事に描き上げることができました!


さぁ、次回からは後半戦に突入だよ。
以上、我が家のゲージュツガクブ(芸術学部)部長のパブロヲでしたっ。
また次回をお楽しみに!
パブロヲ

3か月でマスターする 絵を描く Eテレ
https://www.nhk.jp/p/3months-ewokaku/ts/XK15MY1YJG/
▼リンくん「絵を描く」!アーカイブはコチラ▼
「リンくん『絵を描く』!(第1回 & 第2回)」
https://bobingreen.com/2025/04/28/13524/
「リンくん『絵を描く』!(第3回)」
https://bobingreen.com/2025/05/12/13675/
「リンくん『絵を描く』!(第4回 & 第5回)」
https://bobingreen.com/2025/06/13/14188/
▼パブロヲの名前の由来のお話はコチラ▼
「命名パブロヲ – 『コート・ダジュール』に憧れて」
https://bobingreen.com/2024/02/22/8316/