線路とヒマワリとライオン —「ひまわりキャンパスプロジェクト」を見に行く
8月上旬のとある日。
どんよりと雨粒を溜め込んだ灰色の雲の下、おでは、線路沿いの道を歩いていた。
ココは、幕張本郷。
住所でいうと、習志野市鷺沼という地域で、同じ幕張と言っても、アウトレットとか高層ホテルとか幕張メッセとかマリンスタジアムのあるあの華やかで洗練された千葉市美浜区の海浜幕張とは違うの。幕張本郷と海浜幕張とはバスで移動しなくちゃいけないくらい離れているし、幕張本郷は総武線の各駅停車しか止まらない。ただし、京成千葉線も走っているのでJRとの乗り換え駅ということで利用者は多い。
その幕張本郷駅を降りると、おでは、津田沼方面つまり上り方面へと5分ほど歩いてやってきた。
右手が線路だ。
総武線各駅停車、総武線快速、それから京成線。少なくみても上り下りで6本のレールが通っているわけだが、さらには車両基地(幕張車両センター)が近くにあるものだから、倍以上はありそうな感じで、複雑にそれらはからみあっている。
左手はいくつかの商店や事務所を超えると、その先真正面に、白い高いフェンスで囲われた工事現場のような場所が見えてきた。
「あ、ココだぁ。」
リンくんはつぶやくと、首をかしげた。
「ン?でも、どっから入るんだろ?」
フェンス越しに首から札を下げた係員らしきひとが見えたので、リンくんはすいませぇーん、と声をかける。
アッチ、アッチ、と全身で示された方向へと、おでらは歩みを進めた。
「ひまわりキャンパスプロジェクト」。その名を知ったのは、つい昨日のことだった。
「ボブぞの今年のヒマワリ写真ドコで撮ろうか?」
リンくんがパソコンを眺めながらおでに聞くともなくつぶやく。
「おで、暑いとこヤダよ。去年、むっちゃくちゃ暑くてやばかったじゃん!」
「んもー、そんなこと言ったって、ヒマワリの時期=真夏でしょ、無茶言わないでよ。」
一昨年までは、佐倉にあるふるさと広場に作られるヒマワリ畑へ、早朝にモビスケ(うちの愛車だ)で訪れていたのだけれど、現在もまだふるさと広場は長期改装中(※風車まわりの一部分だけには花が植えられています)。
なので、去年は、ふなばしアンデルセン公園へバスを乗り継いで行ったのだけど・・・それが暑いのなんのって・・・。おで、ベチャベチャのビチャビチャライオンになっちゃったのがトラウマなの。
「今年はアンデルセン公園はナシね。行くなら涼しくなってからね!」
おではそう宣言していたのだ。
そこでリンくんが見つけたのがココってわけ。
「ねぇ。幕張本郷行ってみる?『ひまわりキャンパスプロジェクト』ってのやってるらしい。」
「ン?近いの?」
「いやー・・・どうだろ・・・。でも駅から5分くらいらしい。」
「フン、じゃあ、いいよ。行ってみるか!」
ヒマワリといえば本来であれば澄み渡った青空に入道雲みたいな絵がベストなんだろうけれど・・・おでとリンくんはあえてこの曇天のさなかやってきたのだった。
誘導員のおニーさんに教えてもらった通り、白いフェンスの手前を左手に曲がるとすぐに広場への入口があった。
「なるほど・・・こういうことかー!」
リンくんフェンスに貼られた掲示をジロジロと眺めて、ふんふん、と首を振っている。
ざっというと、こういうこと。
この白いフェンスで囲われたエリアはマンションを主軸とした再開発を進めている土地らしい。現在は更地になっていて、これから本格的に建設が進められていく予定なのだけれども、その前に、地域住民と一緒にこの土地の一角にヒマワリ畑を作ってイベントをして盛り上げよう、とそんなところだ。
習志野市内には個人の農家の方がやっていた「ひまわり回廊」というスポットがあったのだが、SNSでバズり過ぎて迷惑行為などが目に余る状況になり、昨年開催途中で取りやめになったという。どうやらその「ひまわり回廊」を引き継ぐ形でなにかできないか、というのがこの「ひまわりキャンパスプロジェクト」の発端となったようだ。
※参考
習志野経済新聞「習志野・鷺沼に5000本のヒマワリ畑 織戸菜園「ひまわり回廊」思い継ぎ」
https://narashino.keizai.biz/headline/1064/
ヒマワリ畑に到着すると、おでは、キレイに整えられた真四角のグリーンにびっくりした。
2m~2.5mくらいはあるんじゃないだろうか?リンくんの背よりもずいぶん高い丈まで成長したヒマワリがニョキニョキ、そして、びっしりと植えられていたのだ。線を引いたようにヒマワリの区画はびっちり決められていて、その整列ぶりはさすが工事現場、という感じがする。
肝心の開花具合はというと・・・残念ながらまだ半分以下。あと1週間か、もう少ししてから満開になるのかもしれない。会期は8月14日までということだから、おではちょっと来るのが早すぎたのかもしれなかった。
「おー!ヒマワリー!おでは夏生まれの夏ライオンだからな!」
ヒャッホウ!
おでは咲いているヒマワリの花へ顔を近づけると、そこには先客がいた。ヒマワリといえばお決まりのブンブン、ハチさんが踊りを踊っていたのだ。
ブンブンブン!
ハチが飛ぶ!
「あ!ボブぞ、そこ立ってみてよ。ホラ、そのハート型の前!」
そうそう!ヒマワリ畑の区画にはいくつかのフォトスポットが用意されていたの。
ピンク色のハート(「ひまわりハッピーハート」)にブランコ(「幸せのひまわりブランコ」)、それから、ピンク色のドア(「未来のひまわり扉」)だ。
平日のお昼前でしかも曇りだからか、来場者はさほど多くなくて、みんなで順番に撮影を楽しんだよ。
ひとしきりヒマワリ畑を堪能したあとは、そのままアートのお時間!
畑からさらに津田沼方面へと伸びる遊歩道のフェンスがカラフルに彩られていたの。
「あぁ、これがまさに『ひまわりキャンパスプロジェクト』ってわけかぁ!」
地域の子供たちが描いたと思われる元気いっぱいのアート。ヒマワリはもちろん、鳥さんや虫さん、虹や線路やおうち、ビル。太陽も雲も混在してここにエネルギーがいっぱい詰め込まれていた。
「おわ!チーバくんまでいる!」
「それから・・・多分おとなりにいるのはナラシドくんかね?」
ご当地のキャラクターまで描かれていて、これは見ごたえがあるなぁ。
※参考
ナラシド♪くん(習志野市のマスコットキャラクター)
https://www.city.narashino.lg.jp/citypromotion/narshidostudio/index.html
「なんだか今年のヒマワリは、例年とはまた違う良さがあったよね。」
津田沼駅へ向かう道中、カメラをしまいながらリンくんが満足そうに言う。
「ふぅむ、確かになぁ。ブランコとかでも写真撮ったし、あとね、ウォールアートも面白かった!」
「アハッ!ボブぞが喜んでくれたなら来て良かった。」
「あぁ、でも、ヒマワリ畑と電車とが同じフレームで撮れたらサイコーなんだけどなぁ、フェンス高いし、素人にゃなかなかうまくいかなそうかな・・・。」
リンくんがブツブツひとり反省会をしているところで、おではふと後ろを振り返ってみた。
このヒマワリ畑、来年はもう見られないんだろうなぁ。そのうち数年後にはでっかいマンションになっちゃうんだろうな。
初めて来た場所、習志野市鷺沼地区。地域住民の思いをくんで実施したという「ひまわりキャンパスプロジェクト」。着工前の工事現場のいち区画を利用して、手作り感あふれるまちなかアートとヒマワリ畑がセットになったこのアイディア、なかなか面白いなぁって思ったよ。
正直、高層マンションばっかり建つのはつまらないけれど・・・
でも、楽しませてもらったぞ!ありがとう!
街の景色が変わっていくのは仕方ない。けれど、前向きにさせてくれるヒマワリはやっぱりおでの好きな花だ。
そう、おでは夏生まれの夏ライオンだからな!フハッ!
ボブぞ
ひまわりキャンパスプロジェクト 公式Instagram
https://www.instagram.com/himawari_project_saginuma/
「真夏の『ふなばしアンデルセン公園』とおでのヒマワリ」
https://bobingreen.com/2025/08/04/15391/
「夏をぐんぐん進む」
https://bobingreen.com/2024/08/09/10029/
「夏のお日さまにはライオンだってさからえない」
https://bobingreen.com/2023/07/16/5641/
「ヒマワリ畑のミツバチさんのこと」
https://bobingreen.com/2022/07/17/2310/
「元気印のひまわり畑」
https://bobingreen.com/2021/08/09/1112/