がびころ劇場 in ヨコハマ — 「三沢厚彦 棚田康司 彫刻される劇場」でアートさんぽからのベイサイドブルー

「がぁびぃちゃーん!はじめまして!」

「ころすけぇ!よぉこそ、ハマへいらっしゃぁぁぁい!」

おれとがびちゃんの初対面の瞬間。
ヨコハーマ駅(横浜駅)の京浜急行線北改札出口でのことだった。

京急名物「逝っとけダイヤ」に遭遇

「んもぉぉぉさぁあああ!京急、普段乗らないからドキドキしちゃったよ。」

リンくんはおれを連れて改札を通りつつ、激しく手を振っている。
相手はこーたろーさん、がびちゃんちのニンゲンのおばさんのことだ。
対するこーたろーさんはというと、スマホのカメラをコッチに向けて必死にタップしている。

このニンゲンふたり、待ち合わせ場所での毎回おなじみの光景なんだそうだ。
(ってぇことはさ、いつもリンくんがこーたろーさんに待ってもらってる・・・、つまり待たせてる・・・ってことでもあるな?オイ!リンくん、ちゃんとしなさいよ。)

互いの顔を見るやいなや、移動中の車内からしきりにやりとりしていたLINEの続きを、おしゃべりしている。

「聞いてよ!ダイヤ乱れの影響で、アナウンスでは”三崎口行き”から”金沢文庫行き”に変更しますって言ってたのに・・・。しばらく乗ってたら、また”三崎口行き”に戻すとアナウンスがあったよ。臨機応変すぎるだろ、おもしろいね、京急。」

京急が人身事故の影響で遅延してダイヤが乱れていたもんだから、しばらくはその話でもちきりだ。

こーたろーさんによれば、通称「逝っとけダイヤ」というらしい。ダイヤ乱れの際にはとにかく旅客をできるだけ迅速に目的地(の近く)へ運ぶべし、という京急線の方針による柔軟な運航スタイルの好例だったようだ。
それを身を持って体験したもんだから、リンくんのコーフンは覚めやらぬ様子だ。

“京急1000系、三崎口行きに乗ってやってきた”

「手動のダイヤ調整、理にかなってるし素晴らしいけどぉー・・・、乗る方は路線図がアタマに入ってないと難しいなー…。外国人旅行客がめっちゃ戸惑ってた。わたしも戸惑った!」

早口でまくしたてるリンくん。

「Rinさんは、外国人ならぬ・・・外県人・・・だな!」

そう、おれもリンくんも、チーバからのこのことやってきたのだ。

“横浜駅到着!珍しく京急に乗ってやってきた”

がびころコンビ結成!

「まー、ニンゲンたちは放って置いてさ、おれたちで今日のハマを楽しもうぜ。」

おれががびちゃんにそう言うと、がびちゃんはうれしそうに手をポフポフしてきた。

「ころすけ、よろしくたのむよ。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

がびちゃんはおれより先輩だ。
おれは今年で36歳になるが、聞いた話によると、がびちゃんはおれよりもひとまわり以上も年上らしい。

「なんだかおふたりさん、背格好が似てていい感じだねぇええ!」

「手触りもなんだか似てるぅ。」

おぉぉう、、、こーたろーおばさんに、オケツをモミモミされたぜ。
なんだかちょっとこそばゆい。

おれはがびちゃんの大きな黒いお耳に向かって、コソッとささやいた。

「・・・ねぇ、がびちゃん。おたくのこーたろーおばさんさぁ、距離詰めてくるの相当早いな?おれ、今日初対面だぜ?もうハグされちまった!」

「アハッ!うん、でしょ?でもさ、おたくのリンおばさんだって、容赦ないよ。ひとたびカメラ構えたらねぇ、がびたちのこと、ずぅっと撮ってるんだもん。」

「あぁ、そっか、ごめんなぁ。」

「お互い長いことニンゲンの面倒見てきた人生(スヌ生、クマ生・・・ぬいぐるみ生とも言う)、苦労してるよなぁ、大変だよなぁ、んだんだ・・・」とおれたちは首をユラユラと縦に振りながら、互いの苦労話に共感しきり。

ニンゲンたちのおしゃべりをよそ目に、おれらは目的地までの道中ですっかり打ち解けあったのだった。

「がびころコンビ、結成だな!」

やったな!ポフポフ!

“背格好も手触りも似てる!歴史が詰まってるおふたりさん。がびちゃん(左)ところすけ(右)”

「三沢厚彦 棚田康司 彫刻される劇場」を観に行く

さて、本日の目的地はKAAT 神奈川芸術劇場
みなとみらい線、日本大通り駅から中華街方面へ徒歩5分程度の場所にある劇場だ。

ココで、リンくんが好きな彫刻家、三沢厚彦先生の企画展が開催されているのだ。
(※Rin注: 会期は2026年6月14日まで。この記事公開時点ではすでに終了しています)

“KAAT 神奈川芸術劇場。NHK横浜放送会館と併設している”

「あの東京駅丸の内OAZOのクマ以外で見るのは初めてだわぁー。」

こーたろーさんも三沢厚彦先生のことはご存知の様子だ。
というのも、東京駅丸の内の商業施設OAZO(オアゾ)の前の屋外広場に、巨大なクマの彫刻作品が立っているのだ。それを教えてくれたのはほかでもないこーたろーさんだったし、リンくんとこーたろーさんは連れ立ってその場所へ行ったこともある。

「わたしはねぇ、以前、千葉市美術館の企画展でキメラシリーズをたぁっぷり見てね、それで好きになって。」

リンくんが相槌を打ちつつ返す。

それから、棚田康司先生という彫刻家・・・正直、棚田先生のことは今回初めて知った。企画展のポスターによれば、今回は三沢先生と棚田先生とのおふたりでの共同展のようだ。

タイトルは、「彫刻される劇場」
彫刻される・・・彫刻する↔彫刻される、なかなか受動態で使うコトバではない気がする。一体どういう意味だろう?

まぁ、見てみればわかるもんかな?とりあえず、レッツゴー!

“「三沢厚彦 棚田康司 彫刻される劇場」入口のポスター掲示”

アトリウムではトラが国会中継を眺めていた

「うわうわうわうわ!タイガァァァーっ!」

建物の1階正面入口を入ってすぐ、でっかい、それはまぁでっかい、ホワイトタイガーが鎮座していた。

「えぇぇぇーこんなオープンスペースに展示されてるの?」

体長約2m・・・いやもっとありそうなド迫力。彩色されたトラの木彫りが何かを凝視している。

“1階オープンスペースでお出迎えしてくれたホワイトタイガー(三沢厚彦「Animal 2012-01」)”
“長いしっぽが立派、楠材の彫り跡と着彩が美しい”

トラの背中側にはNHK横浜放送会館のエントランスがあり、その頭上にある大きなモニターでは、国会中継がLIVE放送されていた。

ちょうど今は片山さつき大臣が話しているところ。

「トラががるるるるっと物言いたげに吠えてるように見えるわ。」

リンくんがそう言うやいなや、おれの目の前のトラは低い声で、がるがると唸った。多分、ニンゲンには聞こえていない。

ホンモノ以上に大きなトラが、日本の国会中継を背にして、世界に向かってなにか物申さんとしている。

マイクに向かってうつむき、用意周到に準備された原稿を読み上げる大臣。
目の前の現実を直視せんと目を見開き、耳をピンと立たせ鼻の穴を天に向かって突き出すトラ。

政治家とトラ。ココでは、どちらも作り物だ。

偶然の風景ではあるけれど、「なぁんだ、コッチのトラの方が生命力強いじゃん?」とおれには思えてならなかった。

“片山さつき大臣にがるるるるっと物言いたげに吠えてるように見える”

“アトリウム”と呼ばれているこのオープンスペースには、他にもいくつか作品が展示されていた。
自由に休憩できるテーブルと椅子もあり、近隣で働く人がお弁当を食べていたり、来場者がひとやすみしたりしている姿が目立つ。

「こんなに間近でアート作品を観ることができて、休憩もできちゃうなんて贅沢な空間!ステキだねぇ!」

企画展示会場内で撮影できるかわからなかったので、おれらはこの無料スペースで記念撮影をしまくった。
(※ちなみに、展示会場内も撮影可でした)

“棚田康司「生える少年」”
“棚田康司「霊魂に就て・七」(左)、三沢厚彦「Bird 2013-01」(右)”
“三沢厚彦「Animal 2007-03」”

前衛的なアート空間!彫刻作品と鑑賞者が共に演出された舞台芸術だった

ゴフゥッ・・・!

リンくんはカラダの全体重を乗せるようにして、重くて分厚い二重ドアを押す。
コッチの空気とアッチの空気が混ざった瞬間に、時空の揺れのように起きた突風がおれの頬を撫でていく。

それくらい、「アッチ」は異世界だった。
展示会場に入ったその瞬間、おれの目の前には、文字通り前代未聞のアート空間が広がっていた。

自然光がたくさん差し込むアトリウムでの撮影をひとしきり終えて、3階の会場(中スタジオ)までエスカレーターで上がる。

会場の手前に簡易的な長机の受付があり、係員の方がおひとりいらっしゃって、ニンゲンたちはそこでチケットを購入した。
一般は1,000円。横浜市民割というのもあるらしい。
ちなみにおれはニンゲンの付き添いのクマだから無料だ。

会計を終え、チケットやキャプションシートを受け取る際、掲示の注意書きを読むように促された。

曰く・・・

・会場内は大変暗いので、足元に十分お気をつけください。
・作品には触らないでください。
・大きな音、照明の点滅、煙の出るシーンがあります。ご注意ください。
・全部で40分間の作品がループで流れております。
・周りにイスが置かれています。ゆっくりとお楽しみください。
・会場内の写真撮影・動画撮影は可能です。
 フラッシュ撮影、三脚、自撮り棒の使用はお断りいたします。
・入口と反対側に出口があります。

KAAT EXHIBITION 2026 三沢厚彦・棚田康司 彫刻される劇場

「へぇ?はぁ・・・。」

単なる彫刻作品の美術展だと思うと、この注意書きの多さには違和感がある。

そんな違和感を覚えつつ、感じた、「アッチ」の空気。

いわゆるインスタレーション(作品単体だけでなく展示空間も含めて全体プロデュースされたアート)ってやつを遥かに凌駕する、前衛的なアート空間だった。

「うわぁぁぁぁぁっ!キレー!!!」

思わず声に出してしまうくらい衝撃だった。

まるで上映中の映画館に足を踏み入れたかような暗闇。そのなかにスポットライトを浴びて、陰影とともに浮かび上がる彫刻作品たちがいた。

2m以上もある白を貴重としたキメラ。立ち姿、四つ足の姿、そして手前には子どもだろうか?キメラになりかけの子キメラがおすわりのポーズを取っている。リンくんが大好きな三沢先生のキメラシリーズだ。

そして、異常なまでに細身のふたりの少年。赤いワンピースの少女の立ち姿。会場の真ん中に立ちすくむお団子アタマの少女。こちらは棚田先生の作品。

どこからともなく浴びるように耳に入ってくるインストゥルメンタルの音楽。
同時に重なり合い絡み合う詩を朗読する声。

光。光。光。

影。影。影。

めくるめくスポットライトの動きに圧倒される。

会場の真ん中奥側から白いスモークが勢いよく出てくると共に、音楽は耳をつんざく勢いでどんどん激しくなってゆく。

静物としての彫刻作品が、まさに、この光や音響効果によって、動物=動くモノとして演出されていた。

「まるでこれは舞台見てるみたいだねぇ。」

おれの隣にぴっとしとくっついて、がびちゃんはいたく関心した様子でウンウンとうなづいている。
おれらはふたり、こーたろーおばさんの膝の上に座り、むぎゅぅと抱っこされている。

「ホラ見て、鑑賞しているニンゲンたちまで作品の一部になっているよ。」

会場内には当然おれたち以外のニンゲンも鑑賞しているのだが、おれらみたいに壁際のイスに座っているだけでなく、作品と作品の間、会場のまんなか、つまり舞台上に立ちすくんでいるニンゲンもいるのだ。

そのニンゲンにも等しくスポットライトが当たり(事前にプログラムされている内容だから当たった人は偶然なんだろうが)、そうすると影ができる。
そう、鑑賞者もこの舞台芸術のひとつの構成要素としてあらかじめ組み込まれているのだ。

手元のキャプションシートを読み込むリンくんを横目に、おれはクマなんだから、どうぶつ的な勘を働かせて、この「舞台芸術」を全身で感じて楽しんでみようと感覚を研ぎ澄ませた。

“会場内の壁際に配置されているイスに座って鑑賞するがびちゃんところすけ(抱っこしているのはこーたろーさん)”
“三沢厚彦「Animal 2020-03」正面”
“三沢厚彦「Animal 2020-03」側面”

この舞台には、鑑賞者と演者、その境はない。

劇場の空間内に置かれた静的な彫刻作品と、鑑賞という行動をする動的なニンゲンたち。

その構図そのものを意図的にプロデュースしたのが、まさに「彫刻される劇場」なのだ、とひらめいた。

「コレが・・・”彫刻される劇場”の意味だったか!!!」

おれはすっかり納得してしまった。

単なる、彫刻作品の展示会ではなかった。

「完全に、してやられたなァ!」

おれたちは、意図せず、この舞台作品の、この劇場の、いち参加者となったのだった。
大好きな作品群に囲まれて参加できるアートなアトラクションだと思うと、1,000円ぽっちの入場料はもんのすごく安く感じた。

「こんな展示、初めてだよ!」

会場を出てからも、こーたろーさんとリンくんは口々にそう話していた。

「がびねぇ、だい・まん・ぞく!ね!ね?ころすけは?!」

「うん!がびちゃん、おれも、だい・まん・ぞく!」

大満足のアート鑑賞。

ポフポフ!ポフポフ!

おれらは手を取り合って、感動を分かち合った。

“三沢厚彦「Animal 2023-01」”
“三沢厚彦「Animal 2022-03」”
“三沢厚彦「Animal 2022-03」影も美しい”
“入場者プレゼント「木屑」 ちなみにドッチの先生の作品から出た木屑なのかはわからない”
“リンくん、ついつい物販に手が伸びる。ポストカードとぷくぷくシール、ステッカーを購入”
“「木屑、ゲットだぜ!」”

アトリウムのテーブルでもぐもぐタイム

約40分で1周のプログラムだったらしい。約1時間半ほど会場にいたから、まるまる2周鑑賞していたことになる。

「ランチどぉするぅー?」

「山下公園まで行ってもいいけどー、今日はちょっと肌寒いし、ココ、いいよね!」

ココ、というのはこのKAAT 神奈川芸術劇場の1階アトリウムのことだ。

3階の会場(中スタジオ)から1階まで戻ってきたおれら。
一旦、このビルの斜向かいのローソンへ買い出しに行き、このテーブルを本日の昼餉の会場として確保したのだった。

“オープンスペース(アトリウム)のテーブルでランチ”

がびちゃんはおにぎりとからあげクンをもぐもぐ。

おれはサンドイッチとチーズをもぐもぐ。

もぐもぐ。もぐもぐ。

「ねぇねぇ、ころすけ、おいしいね。」

「うん。がびちゃん、おいしいね。」

「ねぇねぇ、ころすけ、楽しいね。」

「うん。がびちゃん、楽しいね。」

「ねぇねぇ。」

「ねぇねぇ。」

うふふふふ。うふふふふ。

「一緒にいて、うれしいね。」

「がびころコンビ、結成だね!」

せっかくのハマ(横浜)だもの、オシャレなレストランで映えるゴハンを食べるのも素敵なこと。
だけれど、それぞれが食べたいものを持ち寄って、ひとつのテーブルで、オトモダチとおしゃべりをしながら時間を共有できれば十分じゃないか。そう思える、シアワセな瞬間だった。

「ごちそーさまでした!」

KAAT 神奈川芸術劇場気に入ったぜ!ありがとうございました。

ハマの観光バス、ベイサイドブルー

「折角来るなら、これ乗っていただこうか思って、今時刻表チェックしてる」

昨晩、こーたろーさんからリンくん宛に届いたLINE。

それが“ベイサイドブルー”というバス。

あくまで横浜市が運営している市営バスのいち路線なのだけれど、2車両をつなげた連接方式の車体を使った珍しいバスなのだという。

「連結、じゃなくてね、連接(れんせつ)っていうらしいよ。」

とは乗り物好きのこーたろーさんの説明だ。

同じ仕様の連節バスはチーバの幕張でも走っているからそれ自体には乗ったことがある。
けれど、このベイサイドブルーは、ハマの観光スポットを巡るルートで、車窓からみどころがいっぱいなんだって。
楽しみ!

KAAT 神奈川芸術劇場をあとにしたおれら「がびころコンビ」は、こーたろーさんのご案内に導かれつつバス停までやってきた。

「中華街入口」。
ベンチが置かれた停留所には複数の路線の表示板が立っているのだけれど、ベイサイドブルーの案内は、ひときわ目立つ明るいメタリックブルーで、近くのタワマンにも負けないくらい輝いていた。

“ベイサイドブルーの停留所「中華街入口」”

バスの到着予定時刻までまだ10分くらいある。ベンチに腰かけておしゃべりしていたニンゲンふたりだけれども、定刻が迫ってくるとともに、落ち着かない様子のこーたろーさん。

「がびちゃん、おたくのこーたろーおばさん、まるで子どもみたいだねぇ?バス待てないの?」

「うふふ、あのねぇ、がびのおばさん、乗り物好きなの。」

「アハッ!そっかー。まぁおれも好きだし、うちのリンくんも好きだけど。」

油断大敵!ほぼ定刻にて、お目当てのバスがやってきた。
おれらの前にはカメラを構えたおニーちゃんもいて、やはり乗り物好きにはたまらない仕様らしい。

さぁてどんなバスなのかな?

“ベイサイドブルーやってきた!ナンバーは「4」”

「ハイハイ。えーっと後ろの車両のね、右の窓際がベストポジションですよぉー。」

先に乗り込んだこーたろーさんが、そそくさと奥へ進んでいく。幸いにもバス車内は空いていて、特に後ろの車両は空席だらけだった。

「え?バスなのに対面のボックス席があるの?!」

リンくんが驚く。まるで電車のボックス席のような、向かい合わせで4人が座れるタイプの座席があるのだ。

「わ。ココいいねぇ。ココの席にしよう!」

「リンさん、奥へどーぞどーぞ。」と促され、リンくんが進行方向の窓際の席に腰を下ろす。こーたろーさんはその隣に、そして、がびちゃんとおれは、ニンゲンたちと向かい合わせて座席に着いた。

“後方車両にはボックス席がございます。しかも名探偵コナンラッピング車両だった!”
“赤レンガ倉庫!「あかいくつ」のバスとすれ違った”

ふぅ、と腰を下ろして窓の外へ目をやると、かの有名な赤レンガ倉庫が見えてきた。これまでハマには何度も来たことがあるリンくんだが、まともに赤レンガ倉庫を散歩したことはないという。

「赤レンガ倉庫っていつも何かしらのイベントやってて混んでるイメージがあって・・・ねぇ。。。」とは人混み嫌い行列嫌いのリンくんの言い分である。

でもこうやって間近まで車窓から楽しめるなんて、なかなかいいじゃない。さすがハマ。横浜市営バス、素晴らしいね!

「いいですかぁー。リンさん、この先ねぇ、ハンマーヘッドでこのベイサイドブルー最大のみどころがあるのよ。右折でぐぐっと大きく転回するとね、後ろの車両から前の車両が見えるわけ。運転手さんの腕の見せ所でもあるね。近づいたら言うからね、シャッターチャンスだよ!」

こーたろーさんはリンくんに念を押すように何度も言う。

「ハンマーヘッド」とは聞いたことはあるが、赤レンガ倉庫と同じく近くまで行ったことはないスポットだ。
考えてみれば、リンくんが経験したことのあるハマって、ものすごく狭いエリアなんだなぁ。

「それにしてもこの運転手さん、運転が慎重でとっても丁寧だなぁ。」

こーたろーさんはベイサイドブルーが好きで、何度も乗ってきているそうだけれど、今日のこのナンバー4を任されている運転手さん(女性ドライバー)はお初だそうな。そもそも4というナンバーを見たのも初めてだそう。

「なぁるほどねー。名探偵コナンコラボのラッピングバスだから、みんな写真撮ってるのか!」

どおりでバスが信号で停車するたびに、外の歩行者と目が合う気がすると思ったんだよな。コチラに向けてスマホで撮ったり、立派な一眼レフをぶら下げているひとまでいる。

現在公開中の劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』は横浜を舞台としているらしく、その広告ラッピング車両だからというのが理由のようだ。

「さぁーいよいよだよ!」

「おっしゃ!」

カシャカシャカシャ・・・

スマホのシャッター音が鳴り響く。

リンくんはスマホを構え、ベイサイドブルー最大のみどころだという右転回を写真に収める。

リンくんの隣に座るこーたろーさんも同じくスマホをかかげ、撮りまくっている。

「やれやれ、ニンゲンたちは大変だなぁ。」

「ホラ、やっぱりさぁ、おたくのリンおばさん、がびところすけのことも撮ってるんでしょ?」

がびちゃん、ハイ、大正解。

うちのリンくん、バスを撮るだけじゃ飽き足らず、ベイサイドブルーとがびころコンビを同時に収めたかったようだ。

カシャカシャカシャ・・・

シャッター音が鳴り止んだと思ったら、バスはハンマーヘッドの停留所に止まって続々と観光客を吸い込んでいったのだった。

「やべやべ。おれらでふた席占領しちゃいかんね。ニンゲンたちのもとに帰るか。」

乗客が増えたベイサイドブルー4番は、こうして終点の横浜駅までおれらを安全運行で連れ帰ってくれたのだった。

“ハンマーヘッドにて右転回!がびころコンビもワクワク!”

“名探偵コナンラッピング”
“ピカピカブルメタリックのベイサイドブルーは全長18m”

がびころ劇場は次回、長野県へ!乞うご期待

「うふーん!次会うときは東京駅かな?」

「うん、そだねー。お互いさぁニンゲンの体調管理がんばろなー。そして、いざ長野へ!だね。」

「がびちゃん、またすぐだね。」

「ころすけ、そうだね。またすぐにね。」

ポフポフ!ポフポフ!

おれらは横浜駅につくと、ひとしきりニンゲンたちのショッピングに付き合い、通勤ラッシュに巻き込まれまいと急いで反対方向の電車に乗り込んだ。

おれらは今月下旬に、一緒に長野県へ旅行する約束しているんだよ。家族以外のオトモダチと一緒にお泊まり旅をするだなんて、ン十年ぶりだ。

さぁて、次はどんな楽しいことが待ってるかな?

今日から始まった「がびころ劇場」。

次回、長野編、乞うご期待!

まったねー!

ころすけ

“がびちゃんはやっぱりがびがびだった!おれもがびがびだけどな”

KAAT 神奈川芸術劇場

https://www.kaat.jp/

横浜市営バス ベイサイドブルーhttps://www.city.yokohama.lg.jp/kotsu/bus/norikata/baysideblue.html

「オトモダチに ふわふわのふきょうしちゃうの! — 『ふわふわのくま 2026 春展』」

https://bobingreen.com/2026/05/07/21518/

「くまくんちのひなまつりパーティーにお呼ばれしたのhttps://bobingreen.com/2026/03/03/20008/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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