おかえりなさい、もっつ & すず

「みぃんなー!たーだーいーまぁっ!」
ガチャッっと鍵が回る音がすると、玄関ドアがギィっと開いた。
「もっつぅー!すずー!おかえりー!」
夕方6時ちょっと前に、お出かけしてたもっつとすずが無事に帰宅してきた。
「あ、リンくんもおかえりー!」
11月下旬ともなれば、お外はもう真っ暗。まだかな?そろそろかな?とソワソワしていたけれど、3人とも、無事に帰ってきたよ。朝7時前のバスに乗るんだといって出かけていったから、もうかれこれ10時間以上経っている。
「キャッキャッ!すずちゃぁん!おかえりなさい!」
「フクぅ!ペン!ただいまー!」
フクもハンペンもとってもうれしそうだ。

クンクン・・・
クンクン・・・
「わ!なんだかもっつ、知ってるけど知らないニオイがするぞ?」
えーっとえーっと・・・このニオイ・・・ハテ?なんだっけ?

「ハッ・・・!くまくんちのニオイだ!!!もっつから、くまくんちのニオイがするよー!」
「そりゃぁそうさ、くまくんに会ってきたんだもの!」
もっつは心なしかバキッとした目をしていて、そして、見慣れぬワインレッドのマフラーをしている。
「もっつ、そのマフラーどしたの?似合ってんじゃん!」
おれがそうほめると、もっつは、「えへへ」と照れ笑いを見せた。
「あのねー・・・」
「あ、待って。もっつ。今日のお話はさ、晩メシでも食いながらゆっくり聞かせてよな。とにかく、まずは無事に我が家に帰ってきてくれて、ありがとう。」
「うん、そうだな。一杯やりたいしな。みんな、ただいま。おれの留守をまもってくれて、アリガトなーぁ。」
ふふ。いつもならおれらが出かけていて、もっつが留守番をしてくれてるんだもん。普段とは真逆の立場だ。
おかえりなさい、もっつ。
おかえりなさい、すず。
ふたりとも、そのホッとした柔らかな表情が、今日イチニチの楽しかった様子をものがたってる。
良かったな!もっつと晩酌しながら聞く土産話がとっても楽しみだ。
ボブお

「鈴の音色を月の輪に揺らして — ライオンボブ家、オトモダチに会いに海が見える町へゆく その3(完結編)」
https://bobingreen.com/2025/11/22/17674/

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