ぼこちゃん、かまぼこに目覚める
ぼこちゃん ぼこちゃん ぼこぼこちゃん♪
「ねーねー!ぼこちゃん!」
ライオンのボブこです。
わたしの名前はボブこ、なんだけれど・・・。
「ぼっこちゃーん!遊んでー!」
最近わたしの寝床によくもぐりこんでくるのがウサギのすずとアザラシのフク、通称すずフクコンビ。このふたりはね、気がついたらわたしのこと「ぼこちゃん」って呼ぶようになった。
「ぼこちゃんだなんてヤメてちょーだいよ。ボブこおねえちゃん、とか呼び方あるでしょ?」
最初は乗り気じゃなかったのだけど、すずフクってば、天真爛漫にそのまっすぐなまぁるいお目めでわたしのことジィーって見つめてきてね。
「ぼこちゃん大好き!」
「ぼこちゃんといっしょに寝るぅ!」
「ぼこちゃんキレイだね!」
「ぼこちゃんってとってもやさしいね!」
とかっていうものだから、もう根負けしちゃったわ。
そんなわけで、わたしは、ぼこちゃんでもあるの。
ある日のこと。
うちの愛車モビスケで、みんなでドライブに出かけた。行き先はカナガーワ方面。帰りに、小田原にある有名なかまぼこやさんである“鈴廣 かまぼこの里”に寄ったの。
もともとそんなにかまぼこという食べ物が特別好きなわけでないのだけど、リンくんがこの鈴廣さんの「しそかをり巻」が大好物でね。白い揚げかまぼこに大葉が巻いてあるシンプルなかまぼこなんだけど、それだけササッとお土産に買いましょってことで駐車場に入った。
クルマを停めて、建物の中に入ってみてビックリ!まるでかまぼこのテーマパークなのよ!とぉっても広くて清潔な店内には、見たこともない種類のかまぼこがいっぱい!いわゆるお正月に食べる半円型で板のついたかまぼこももちろん売っているのだけれど、それ以上に、お魚のすり身を使ったさまざまな商品が置いてあって、衝撃を受けたわ。
「こりゃぁ・・・、ダイコーフンだぁ!」
うちのニンゲンたち(ケンイツエンチョーとリンくん)はカゴを手に、あれやこれやとついつい商品を放り込んでいく。
「おっかしいなぁ、しそかをり巻を買いに来たのに・・・。うぅ!」
そんなこんなで大量のかまぼこ製品を袋に詰めてもらって、クーラーバッグに入れて持ち帰ってきたのでした。
「ぼこちゃん!ねーねーかまぼこがいっぱいだよ!ぼこちゃんはぼこちゃんだからかまぼこ好き?」
お魚大好きなフクがわたしに向かってうれしそうに笑いかけてくる。
「そぉねぇ、食べてみなくっちゃわからないわね。」
「じゃーん!鈴廣さんスゴくない?コレ、かまぼこだって!」
リンくんがそれっぽくお皿に並べてくれたそれは、まるでかまぼこの見た目じゃなかったの。オシャレなワインバーなんかで出てきそうな、見た目も美しいひとくちサイズのオードブルだった。2種類あって、ひとつはうす茶色、黄色、白の3層のコントラストが美しい穴子寿司のよう。もうひとつは鮮やかなピンク色の薄い皮にくるまれたチーズのような見た目だった。
「食べてみようよ!ぼこちゃん好きそうだよね?」
「見た目はキレイね!まるでお店で出てくるみたいね。だからといって、別にわたし特別かまぼこが好きなわけじゃないんだけれど・・・。」
「まぁまぁそう言わず、食べてみよっぜ。」
ケンイツエンチョーにも促されて、ひとくち口に運んでみる。
「アラッ・・・。不思議!わたしがこれまでに知ってるかまぼこではないわね・・・?おいしい!」
くぴ、とワインをひとくち含む。穴子寿司のように見えるほうは、ごぼうの風味が効いていて、香ばしさのなかにもやさしいふんわりとした香りが漂う。ピンク色のチーズのようなほうは、中にドライいちじくが入っていて、スイーツほど甘くはないものの、ワインにぴったりのお味。
「どう?気に入った?」
「うふふ、気に入ったわ。わたし、ぼこちゃんって呼ばれてて良かったわ!かまぼこ好きになっちゃった。」
「そーかそーか!ボブこさんが気に入ったなら、よかったなぁ。こりゃあ、新たな発見したな!」
「エンチョ、アリガト。うふふ。」
「ぼこちゃーん!フクも食べてみたいよー!」
「一緒に食べましょう!きっとフクも好きだよ。」
「ぼこちゃん、アーンしてくぅださい!」
「ハイっアーン!」
「ぼこちゃん、おいしーね!」
すずフクが嬉しそうにお口をもぐもぐして、黒い目をぱちくりさせている。
うふふ、わたしの名前はボブこ、ぼこちゃんって呼ばれてる。だからってわけじゃないけれどね、かまぼこ好きになっちゃったわ!
ぼこちゃん ぼこちゃん ぼこぼこちゃん♪
ボブこ
※わたしたちが遊びに行ったのは、「鈴廣 かまぼこの里」という施設の中の「鈴なり市場」だったみたいです。その他にも博物館やレストラン、甘味処なんかもあるようです。今回はクルマで行ったけれど、箱根登山鉄道「風祭」駅のすぐそばだから、電車で行くのもアリかもね。
鈴廣 かまぼこの里
https://www.kamaboko.com/sato
鈴廣「海山のおーどぶる」
https://www.kamaboko.com/shohin/umiyama