スイーツ番長あこがれのシェ・シバタ
シェ・シバタっ!シェ・シバタったらシェ・シバタぁーーーー!
カンカンカカーンっ!
スイーツ番長、ペンギンの勘九郎でっす。
あのねっあのねっあのねー!
オトモダチのみんなに聞いてほしいことがあるの!
ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ・・・ドンっ!(ドラムロール)
「わっし、ついに、あこがれのシェ・シバタの生ケーキをっっっ、初体験だよー!カンカンカカーンッ!」
ワー!パチパチパチパチっ!(歓声)
シェ・シバタっていうのはね、アイーチ(愛知県)にしかお店がないケーキ屋さんなんだ。オーナーパティシエの柴田武さんは最近よくテレビに出ていてね、我が家もお気に入りの番組”ジョブチューン”ではよく審査員で登場するよ。ギリッとしたあの目ヂカラMAXのオジサマが繊細なお菓子を作ってるんだ。
それでねそれでね。
わっしとシェ・シバタのお菓子の出会いは、以前リンくんがまだカイシャインをやってる頃のこと。リンくんが名古屋出張のお土産に買ってきてくれた、オレンジとチョコレートのお菓子。名前をオランジュショコラって言ってね、コレが絶品でねぇ!
最近はオレンジとチョコレートのお菓子ってコンビニとかでも売ってるくらいメジャーな組み合わせだけれど、わっし、おおげさじゃなく、オレンジ味のチョコレートではシェ・シバタがいっちばん美味しいと思ってるんだ。
そして、今。
わっし勘九郎は、シェ・シバタ名古屋の路面店の、真ん前に到着したのですッ。
場所はね、名古屋市営地下鉄東山線の覚王山駅から商店街をちょっと入ったところ。わっしはもちろんのこと、リンくんも覚王山っていう場所に来たのは初めてだって。
ドッキドキーのワックワクー!ドッキドキーのワックワク!
金地に青紫のロゴには、Shez Shibataとある。わっしにとってはホントに憧れのこのマーク!ひぇー超楽しみカーンッ!
「勘九郎、ついにやって来たねぇ・・・!シェ・シバタの店舗。名古屋駅高島屋か栄三越のお店しか行ったことなかったから、どんなかな・・・ワクワク!」
「ついに、シェ・シバタの生ケーキッ!カーン!」
そう。デパ地下店舗では、生ケーキを売っているときといないときがあるみたいでね。実は昨日、栄三越のお店に行ったら、夕方だったからかもしれないけれどひとっつもなかったんだよね。(リンくんが数年前に高島屋のお店へ行ったときには並んでいたらしいけれど、最近はどうなんだろう?)
というわけで、昨日のリベンジ!
平日の15時過ぎ。どんなケーキが並んでるかな?
スゥーッと自動ドアが開くと、目の前にはまずカフェスペース。一歩奥には色とりどりの焼き菓子が並ぶコーナー、そして・・・生ケーキの冷蔵ケース!!!ひゃー!ついに、お目見え!わーいわーいっ!
「カンカンカカーンッ!ねぇねぇリンくん、わっし、選んでもいいの?」
「もちろん、いいよぉ!ずっと来たかったんでしょ?食べてみたかったんでしょ?スイーツ番長だもんね。今日は旅行中だし、値段は見ないようにしておくから、どれでも好きなの選んでいいよ。」
リンくんもちょっとテンションが上がってるみたい。わっしは我がボブ家のスイーツ番長、スイーツ最終責任者として、ズラリと並んだこの美しいキラッキラのケーキを選択する権利を得たのだ。
でもリンくんは最後に小声で、「ただし、2個だよ。それ以上は絶対食べきれないからね。」と念を押してきたけれど。
「わぁった!2個!2個選んでいいのねーっ!カーン!」
えーっとえーっと・・・。
ピッカピカに磨かれたくもりひとつない冷蔵ケース。中には右から左までズラリとカラフルな生ケーキが並んでいるの。20種類近くあるかな?商品名もオシャレで、いったいどんな味のするケーキなのか、見た目では想像しきれないんだ。ダークブラウンは、きっとチョコレートでしょ。ピンクのはイチゴとかラズベリー?鮮やかなグリーンは抹茶だね!カタチも様々で、高層ビルを横倒しにしたみたいなキレイな長方体、円形の筒型、丸いホールケーキをカットした扇型。それからね、定番のシュークリームとかエクレア、それからチーズケーキもあるの。
どれもこれも、端から端まで完成されていて、”洗練”っていうコトバがよく似合うよ。
店内を見回すと、黒の制服に身を包んだ店員さんたちがお客さんひとりひとりに丁寧に接客しているの。さすが有名店、外国人観光客らしきお客さんもいて、とても人気なんだなぁって思う。
いやいや・・・ボンヤリしてないで選ばなくッちゃ。
「わっし、ひとつはシンプルなの、もうひとつは食べたことない派手なヤツがいい!」
「いいよ。どれにしよっか?」
「えーっとね、まずはシュークリーム!」
「お。シェ・シバタのスペシャリテだって。いいチョイスですな。」
「うんうん!お店のジマンの一品ってことでしょ?わっし、知ってる!スペシャリテ!」
「アッハ。さすが食いしん坊勘九郎。で、もう一つはどれがいいかな?」
んーっとんーっと・・・。
最後は直感で決めた。
「んじゃっ、コレ!」
リンくんはオッケー、というと、目が合った店員さんに注文をした。
「スミマセーン。シュー・ア・ラ・クレームとピスターシュディラン、ひとつずつください。持ち帰りで。」
「お持ち帰りですね、お時間は?」
「えーっと、1時間くらい。」
ココから栄にとったホテルの部屋まではホントは1時間もかからないはずだけれど、念のため、ちょっと長めに伝えたらしい。
「ご用意いたしますのでお待ちくださいませ。」
フゥ・・・。わっしは大仕事をやってのけた!この美しき宝石箱のような数々の生ケーキのなかから2個だけ選ぶという壮大なミッションをやってのけた!
ひとつめは、すぐに決まった。
シュークリーム、いや、このお店では、正式には、シュー・ア・ラ・クレーム。一番端っこにあって、一番シンプルで、しかもスペシャリテ(お店のジマンの一品)ということだから。あと、ちょっと値段が他に比べればリーズナブル。うん、きっと定番の分、おいしさがわかるに違いない、と思ってね。
ふたつめの、ピスターシュディランとは?
商品名からなんとなくピスタチオっぽいぞ、ということはわかる。それから、長方形の断面がとっても好きな色だったんだ。グリーンと赤みの強いピンク。あぁーなんかナッツの香ばしいとベリーの甘酸っぱいとがきっと混じったような美味しさなんだろうな!って思ったんだ。
「お待たせしました。お会計はコチラでお願いします。」
リンくんはセルフ式のレジでお会計を済ませると、あの紙袋を受け取った。あの、青紫色の袋だ。
「ありがとうございました。」
自動ドアに見送られると、わっしはついつい口元が緩んでしまった。
カンカンカカーン!
さぁっ、あとはホテルへ戻って食べるよー!
「リンくん、絶対に絶対に倒さないでよ。そろーりそろーり、大事に持って帰ってよ?いい?」
「えーっと、勘九郎、アナタそんなこと言って、どうしてソコに入ってるの?」
「・・・エッ?エー?」
あまりにうれしくてはしゃぎすぎて、わっしはケーキの入った青紫色の中に一緒に飛び込んでしまっていた。
「あいや、ついつい・・・。」
「ふふ、とにかく、大事にそろーっと、でも急いで、ホテルに戻ろう?すぐ食べるでしょ?」
「うんッ!カーン!」
ギリギリ帰宅ラッシュ前の東山線の、できるだけすいている車両を選んで、そぉっと乗り込む。慣れない名古屋の大都会、リンくんはちょっとキンチョーしてるみたいだ。
栄のホテルに到着すると、ワイシャツの首もとをゆるめた姿のケンイツエンチョーが先に部屋に帰っていた。
「おつかれさーん!」
そう、ケンイツエンチョーはイチニチ名古屋でオシゴトを終えたところで、まだホテルでパソコンを開いていたの。
「お土産あるよっ!あのねっあのねっあのねー!」
わっしが超ハイテンションでケンイツエンチョーにホーコクしようとしたら、食い気味に言われちゃった。
「おっ!シェ・シバタ行ったのか!」
「アッ・・・うん!ケーキ!食べよ!」
「おー!食おう食おう。あ、ワイン買ってあるでよ。」
ホテルの斜向かいのビルに入っているセブンイレブンで赤ワインを買っておいてくれたらしい。
洗面所で手を洗って、決して広くないビジネスホテルのデスクの上でケーキを広げた。
「あーん・・・ホントはもっと映えたいのに・・・。ぜんっぜんムリだよね、だってお皿もカトラリーもないもの・・・。」
それでも食い意地の張ったハラペコのわっし。早く食べたい一心でリンくんを急かした。
「はやくーぅ!カーン!食べよ!食べよ!開けてー!」
ケーキの箱を開けると、無事に崩れることなく2つの”宝物”が出てきた。
「あのねっ!エンチョー、わっしが選んだんだよ!いっぱいある中からね、一生懸命、わっしが選んだの!カーン!ひとつはシュークリームでね、もうひとつはピスタチオとベリーのやつ!うまそぉでしょ?」
「そぉかぁそぉかぁ。勘九郎、良かったなぁ!憧れのお店だったんだろ?ホラ、さっそく食おぉぜっ!」
せーのっ!
「カンパーイ!」
名古屋の小さなビジネスホテルの部屋で、ついに憧れのシェ・シバタの生ケーキをおやつに食べる、この瞬間。しかもコーヒーでも紅茶でもなく、ワインと一緒に食べていいんだって!きゃーん!わっし、超うれしい、超シアワセカーン!
カンカンカカーン!
「ウンまっ・・・!」
シュークリーム・・・、いや、シュー・ア・ラ・クレームをひとくち頬張ったリンくんが思わずつぶやく。
「ホンモノ・・・ホンモノよぉ!クリームが甘すぎなくてふんわりして、好き!あ、でもこの皮の上の粉糖はなくてもいいかも・・・。」
「リンくーん、それはリンくんが酒飲みで甘いのがそこまで強くないほうが好きだからでしょ?わっしは甘いの大好きだよ。」
「そりゃあ、勘九郎はスイーツ番長だもんね。」
どれどれ・・・?
「なんだぁー!皮、うまっ!小麦と玉子の味がするよっ!あぁ・・・香り。香りだよね。食べものってさ、もちろん舌で味わうものなのかもしれないけれど、ふうわりと鼻から抜けていくよ。はぁーんうまぁぁィッ!カーン!」
「おぉおぉ!おれにもくれよぉ!・・・ぬぉぉぉー!」
ケンイツエンチョー、豪快に手づかみでシュークリームを口に運んだかと思うと、ひとつうなって、それから、鼻のアタマにクリームをペッチョリとつけてから、イヨォォォッと歌舞伎ポーズを決めた。
「・・・ウンまいぃっ!」
あはー。ケンイツエンチョーは、わっしらが名古屋で遊んでる間、オシゴトしてくれてたんだもんな。おつかれさまなのなー。甘いの食べて疲れ取って欲しいんだ。
なんだか狭い部屋の映えないデスクだけれどね、シェ・シバタの生ケーキのあまりのオーラに、おれらはむっしゃむっしゃと夢中で食らいついた。
「お次はー、ピスタチオのやつよ。ピスターシュディランっていうの。見て!見て!この断面!きゃー!勘九郎、ハイ、あーんっ!」
リンくんがダイコーフンしてる。リンくんはどちらかというとコッチ推しだったみたい。わっしは最初のひとくちをありがたくいただくことにした。
「ではでは・・・いっただきまーす。・・・うほぅ!食べたことのないお味!複雑ぅって言ったらそれまでだけれど、甘い、香ばしい、酸っぱい、フレッシュ、濃厚、フワフワ、しっとり、みずみずしい、それからちょっとガリッ・・・いろんな味覚と食感が混じり合って、目にも舌にも歯ざわりにも、サイコー。カーンっ!」
いやいやいやいや。
夢にまで見たシェ・シバタの生ケーキ。チーバはおろか世界のうまいものが集まるトーキョーでも買えない一品。ほんっとにシアワセなひとときでした。
ごちそうさまでした!
わっしスイーツ番長勘九郎、またひとつレベルアップした感じなのよ。おいしいスイーツ探しは、まだまだ続くよ。
次はアナタの街に出没するかも?なんてねっ!
カンカンカカーン!
勘九郎
※補足
あ・・・一応お伝えしておくとね。
セブンイレブンの赤ワイン(フルボトルよ)の方が、シェ・シバタのケーキ1個よりお安いっていうことは、おれらだけのナイショだよ。それはセブンイレブンが良心的なのよ!だって500円くらいでオーガニックワイン置いてるんだもの、それより高いワインには手を出さないよねぇ・・・、ねぇ?でしょ?
シェ・シバタ名古屋
https://chez-shibata.com/shop/nagoya/
セブンプレミアム 有機ぶどうを使った自然派ワイン「VINOCENT」 テンプラニーリョ/アイレン
https://7premium.jp/product/pickup/detail?id=95