“スカ”したクリスマスプレゼント
ぱちっぱちぱち!
おでが目を開けると、寝室にはすでに朝の日の光が差し込んできていた。右隣ではニーちゃんがすぅーすぅーと寝息をたてていて、そのさらに右にはケンイツエンチョーがぐがーぐがーとイビキをかいている。
なんとなく、気配がした気がしたんだけれど、知らんぷりをしてもう一度目を閉じた。
ガサ・・ガサガサッ・・・
ゴソゴソ・・・ゴソゴソ
カシャカシャ!カシャカシャ!
・・・ン?
ガサゴソ、という音はね、多分ね、きっとね、サンタさんがやってきた音なんじゃないかぁって思う。そう、今年のボブ家のサンタさんはウサギのすず、そしてトナカイはアザラシのフクなんだ。
だけれど、カシャ、ってなんだ?明らかにリンくんのカメラのシャッター音じゃない!
むむっ。おでは知らんぷりしてやるけれど、ニーちゃんが起きちゃったら困る。
シッ・・・!と言って注意してやりたいところだけれど、すずフクがいる手前、気がついてない演技を続けなくちゃと思って、グッとガマンをした。
(しゃんしゃんしゃんしゃん♪)
(りんりんりんりん♪)
(うんしょ・・・よいしょ・・・)
(よいせ・・・こらせ・・・)
ふふ、すずちゃんサンタとフクトナカイさん、がんばってるんだろうなぁ・・・って、おでは目を開けられないから、想像していたらつい笑みがこぼれてしまった。
(ずだだだだだ!だーーーーっしゅっ!)
(ずだだだだだ!だーーーーっしゅっ!)
フゥ・・・。どうやらオシゴトが終わって、居間の方へ戻っていったようだ。
ンー。目を開けたい・・・開けたいけれど・・・。
もしおでが先に見ちゃったら、ニーちゃんと同時におどろきとカンドー(感動)を味わうことができないから、だから、もう一度しっかりと目を閉じた。
枕元から、すごいオーラを感じる・・・!気になる気になる気になるぅー!
だから、アタマのなかでお歌を歌ってごまかすことにした。
(このぉ木なんの木気になる気になる木ぃー・・・♪)
いやいやいや、ダメだ。気にしちゃいけないんだよね。
えーっと、えーっと。クリスマスのお歌でも歌っていようかな。
(うぃうぃっしゅゆあめりーくりすます、うぃうぃっしゅゆあめりーくりーすます・・・♪)
あー!気になる!
そのとき。
(グガッ!)
ひとつでっかい鼻イビキをして、その反動からか、エンチョーが目を覚ました。アイマスクを外して、おでのほうに手を伸ばしてきた。
「おぉ・・・。よく寝たなぁ。おはーに!ボブお。おはーに!ボブぞ。」
「エンチョォ、おはーに。メリークリスマス!」
おではついつい、クリスマスのごあいさつをしてしまった。
スゥースゥー・・・
「あれ、ニーちゃんはまだ寝てるや。起きてー。朝だよ。クリスマスの、朝だよ。」
「ンンッ・・・。フワァー!よぉ。おはーに。」
ニーちゃんも目を覚ましたところで、おでは、満を持して、目をぱちくりした。
ぱちっぱちぱち!
「ねぇ、ニーちゃん、お目めぱちぱちしてみて。」
「ン?なんだ?」
ぱちっぱちぱち!
ぱちっぱちぱち!
「それから、上を見るよ。枕元だよ。」
「あいよ?」
「じゃぁ、いくよ。せーのっ!」
おではせーのの合図をして、ニーちゃんと同時に布団の頭上を見上げた。
すると・・・。
「あったー!あったー!あったよー!」
「わぁいわぁい!ニーちゃん、サンタさん来たーーー!」
ぴっかぴかのキラッキラの真っ赤なお洋服と、ぴっかぴかのキラッキラの真っ青なお洋服が置いてあるのが目に入った。
「おれ、赤だよな。」
「そうだよぉ、おでは、青ね!」
そこへ、ケンイツエンチョーが口をはさんできた。
「ボブおー、ボブぞ、良かったなぁ!スカしてんじゃん。」
「イカしてる、じゃなくて?スカしてるの?」
「そぉさぁ。スカジャン、ずっと欲しかったんだろ?」
「フハッ!そういうことかぁ!うん、スカしてる!イカしてるけどスカしてるスカジャン!わぁいわぁい!」
そうやって、おでらは憧れのスカジャン(横須賀ジャンパー)のお洋服を、ニーちゃんと色違いでサンタさんにプレゼントしてもらったのだった。
しかもね、来年の干支であるドラゴーン!そう、龍(辰)の刺繍が入っているの!
「アリガトーぉ、サンタさん!一緒に運んでくれたトナカイさんも、どうもアリガトぉ!おでら、大切に着ます。これ着て、いろんなところいっぱいお出かけします。」
おでがすずちゃんサンタとフクトナカイさんにお礼を言っていたら、ニーちゃんもこう続いた。
「おー、それにしても、すずフク、昨日からサンタさんとトナカイさん、よく頑張ったのなぁ。それから、エンチョー、ありがとなぁ。こないだショッピングモールで見つけてくれたんだろ?うれしいよー!」
あれっあれあれ。ニーちゃんはサンタさんは本当にいるって信じていたんじゃなかったっけ?だけど、この流れ・・・、もしかして今年のサンタさんはすずフクだって、知ってたの?おで一生懸命知らんぷりしたんだけどなぁ。
おでは軽く混乱してしまったけれど、何食わぬ顔でスルーすることにしたのだった。
「ねぇ、おで、スカしてる?イカしてる・・・?じゃないや、スカしてるかな?似合うかな?」
「ほら、じゃぁさ、みんなの待ってる居間へ行って、試着してごらん。」
エンチョーはやさしい。たぶん、おでがひとあし先に目が覚めていたことも知っているし、ニーちゃんのクールな対応も想定内だったんだと、思う。おで、せっかくちょっと演技したのに、ぷぅ・・・ま、ステキなプレゼントもらったから、そんなのどーでもいいや!
居間に行ったら、クリスマスツリーの下で、もう一回大きな声で言うんだ。
せーのっ!
「サンタさん、トナカイさん、アリガトぉー!」
ジィっとすずとフクがおでらの背中を見て、うふふ、うふふとうれしそうに笑っているのがわかったよ。
やさしくて楽しくて、みんながちょっぴりがんばった、クリスマスの朝。
オトモダチのみんなへごあいさつしなくちゃね。
おはーに!そして、メリークリスマス!
(あ。そうそう、新しいお洋服のちゃんとしたお披露目は、新年にするね。お楽しみに!♪)
ボブぞ
※ウサギのすず(すずサンタ)とアザラシのフク(フクトナカイ)のお話はコチラだよ
↓↓↓
「すずサンタとフクトナカイのメリークリスマス」
https://bobingreen.com/2023/12/25/7502/
この木なんの木 気になる木
日立グループ ヒデ冬樹・朝礼志「この木なんの木」
名前も知らない 木ですから
名前も知らない木になるでしょう
we wish you a merry Christmas
TRADITIONAL “we wish you a merry Christmas”
we wish you a merry Christmas
we wish you a merry Christmas
and a happy new year
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