みどりテラスは平常運転
シャァッ・・・
乾いた道路を車が通過する。
カサカサカサカサ・・・
サワサワサワサワ・・・
枯れ葉がこすれる音が耳に気持ちいい。
チッチッチッチッ・・・・
郵便やさんの赤いバイクがアイドリングしているようだ。規則的な音が聴こえたのちに、ブゥと低い音で走り去っていった。
遠くの方では、ペーポーペーポーと救急車がサイレン音を鳴らしている。
クンクン。クンクン。
どこかから、ソーセージを炒める香ばしい香りがする。
ボブおです。
冬のみどりテラスはいい。
なにがいいって、お客が来ないからいい。
このみどりテラスには、日頃、たくさんのお客がくる。
春にはテントウムシがやってくるし、ピヨピヨとかなり大きな声で鳴くヒヨドリが入ってきて落とし物をしていくこともしばしばだ。
夏になれば、5階だというのにもかかわらず蚊がやってきて、リンくんやケンイツエンチョーの手足を狙う。
その後、秋ごろからやってくる厄介者が、でっかいハチだ。盛夏を過ぎたころから、夕日を眺めながらの夕涼みや、夜のお月さまへのご挨拶は本当に気持ちがいいものなのだけれど、油断は禁物。ブゥゥン!と挨拶しに来るのだ。
きっと彼らは、
こぉおおおんにぃぃいいちわぁ〜!!!
と、指と指のあいだを大きく広げて、ダブルパーの体勢で、おれを見てー!お友達になろー!と無邪気にやってきてくれてるのかもしれないんだけれどね。
でも、おれは随分なビビりライオンなものだから。
ブゥゥゥン!(こぉおおおんにぃぃいいちわぁ〜!!!)
!!!アワアワオワオワ・・・ヒャァ・・・!(カンベンしてー!ごめんなさーい!)
と、あわてふためき、バタバタとテラスから退散することになるのだ。
冬至を迎えるあたりから、さすがにそんなお客も来なくなる。1月も半分が過ぎた今日は、そんな感じで驚かせてくるお客がいないから、安心してひなたぼっこができる。
風がなくてお日さまがたっぷりたっぷり降り注ぐ今日みたいな日は、おれらのみどりテラスは、とってもここちよしだ。
こーこーちーよーしー。
大きくひと呼吸したら。
クンクン。クンクン。
今度は別の方向から、おしょうゆの焦げたいい香りがしたきた。
お正月のお餅の残り焼いて磯辺焼きにでもしてるのかねぇ。
たまらない、いい香り!
ゆっくり、ゆったりと、おれらはオナカにモーフをかけて、お空を眺めている。リンくんはというと、しっかり着込んで、飲み物片手に、メガネをかけて読書タイム。
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風がおだやかで、周りの音も静かで、鳥の鳴き声を安心して聴いていられる、そんなひととき。
今日のみどりキャンプは、平常運転です。遅延も欠便も、ありません。
定刻にて安全運転で運行しております。
フハッ。
ボブお
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