夏の神さまの引継ぎ
リゥリゥリゥリゥリゥリゥリゥリゥ・・・
リゥリゥリゥリゥリゥリゥリゥリゥ・・・
ぴるるるる・・・
ぴるるるる・・・
雨がやんだ。土曜日の夕方6時。おれはパラリンピックも佳境のなかテレビの前でうっとしウトウトのお昼寝から目が覚めた。
ボブおです。
ねぇ、リンくん、雨、やんだ?
うーん、たぶん、やんでる、かなぁ?もう暗くなってきてリンくんの目じゃよく見えない。
さわさわさわさわざわざわざわざわ・・・
シュールるるる・・・
ひゅうぅー・・・・・・
虫の声も、風の音も、車の音も、乾いてきてるじゃん。おれ、知ってる、雨、ようやくやんだね。
つい、ついのこの間まで真夏だったみどりテラス。すっかり、あっという間に秋になってしまった。
ニッポンには四季があるというけれど、おれは違うと思う。もっと、もっと。もーっといっぱいの季があるんだけれど、季節をつかさどる神さまは4人しかいないから、便宜上4つの季節に分けてるんじゃないかって思う。
いまは、秋の神さまが、夏の神さまから引き継ぎを受けて走り始めようかなーとウォーミングアップをはじめたら、急に夏の神さまが風邪をひいちゃっていなくなっちゃった、感じ。
おいおい、夏の神さまー、ドコー?夏頑張りすぎて、疲れちゃったの?秋真っ盛りにはまだまだ早いんだよぉ。
秋の神さまも、もちょっとスロースタートしよっかなー、みたいなかんじだったのに、急に本番。あれあれ?と戸惑ってる感じがよくわかる。
ボブおはさ、どの季節の神さまがいいの?
何言ってんの、どの季節の神さまがいいなんて話、ないよ。みんな神さまだよ。大事な神さま。どの神さまもいなくなったら大変でしょ。
あー、うん、そうね。そうだね。ちょっと今年はさ、夏の神さま、激しかったよね。
フハッ。そうだね、オマエら、急に野外ゲリラライブにご招待されたもんね。おれらはあの日、おうちにいてよかったよぉー。
うむ。あれはばびったよぉ。人生でこんなに強い雨に打たれたの、初めてだった。カミナリさま、光も音も、すごかった。野外ライブなのに、照明も音響もばっちりで、舞台演出も水量もばっちりすぎて、迫力あったよ。花火やら火薬モノがないだけなんとか救われたけれど。頭の先からつま先まで、なんならおパンツの中まで、びっちょびちょだったよ。
そう、そうなのだ。8月も終わりの頃、日課の朝のウォーキングにでかけたケンイツエンチョーとリンくん。いつものディスカウントスーパーで朝の買い出しを終えたあと、大暴れの夏の神さまに遭遇した。
文字通りバケツをひっくり返したような、雨。経験したことのないような、雨、とはこのこと。そして、稲光と雷鳴。それが、カミナリさまの、ザ・野外ゲリラライブの興行だ。
いまこうやっておだやかに秋の虫が鳴いている涼やかなテラスに身を置いていると、そんな夏の神さまの大暴れも嘘のよう。
やっぱり、あれは、やりすぎだよね、夏の神さま、あそこで体力使いすぎ。まぁ、寝込んで当然だわ。
ところで、秋の神さまもさぁ、さっそく雨降らしすぎなんだけど?おれら、遊びにいけないじゃん。
ほんと、ね。涼しいを通り越して寒いくらいだね。ボブお、そのTシャツ、寒い?そろそろ秋服に着替える?
ン?おれ、秋服、持ってたっけ。お気に入りの冬のダウンに着かえる頃までは、この白Tでいくさ。
あら、そぉ。そっか、お気に入りの秋服はないか。いいの見つけたら買おうかね?わたしは寒いから、一枚羽織るわ。
そんなことを話しながら、おれらはみどりテラスを後にして部屋に入る。
あーハラ減ってきたぁ。リーンくーん、今夜のメシ、なぁにー?
9月もまだ4日。まだまだ、秋の味覚には早いけれど、気分はすっかり秋めいてきた。ウマイもの食べて、いっぱい寝て、いっぱい遊ぶんだもんね。
秋の神さま、秋雨はほどほどに、どうかお手柔らかにお願いします。あと、おいしいものがいっぱい実るように、収穫できるように、ぜひ、お願いします。
フハッ!
ボブお