同じほうを向いて

ジィっ・・・
すずちゃんは窓際で、いっつもナナメ上に首をかしげて、長いお耳を垂らして、お空を眺めている。赤くておっきい、すずちゃんにしかもってない素敵な羽根を支えにして、座っている。
フク、知ってるの。すずちゃんがね、鳥さんを好きだってこと。ずっと鳥さんを探してるってこと。
多分、すずちゃんもお空を飛びたいんだと思うんだ。こんなに素敵な赤い羽根を持ってるのに、ちゃんと飛んだことがないって言ってたから。

だから、フクも同じほうを向くの。
すずちゃんの好きな鳥さんを、フクも好きになりたいの。
すずちゃんが憧れる鳥さんを、フクも好きになりたいの。
好きな人の好きなものを知っていて、それを好きな人と一緒に好きになることができたら、なんてうれしいことだろう。
すずちゃんの目に映るものはなんでも、フクも好きになりたいの。
ジィっ・・・
「フクぅ、ねぇ、何見てるの?」
すずちゃんってば、わかってるくせに。視線は窓の外に向いたまま、フクにそんな質問をしてくるの。
「あのね、フクね。すずちゃんと同じほうを見てるの。」
「アハッ!すずフクはいつだって一緒だもんね。」
「うん、そうだよぉ。フク、すずちゃんがいなくっちゃ、困っちゃうよ。」
「フクぅ。」
「なぁに?」
「フクはお空、飛べる?」
「ううん、飛べない。すずちゃんは?」
「すずはねー、飛べるよ、いつかね。いつか。」
「そのときはフクも一緒に背中に乗せてくれる?」
そう言うと、すずちゃんはこう返した。
「いいよ。でも、すず、フクの背中にも乗りたいから、フクも飛べるようになってから、一緒に飛ぼうよ。」
同じほうを向いて。
好きな人の好きなものを知っていて、好きな人の憧れることを一緒に実現できたら、なんてうれしいことだろう。
すずちゃん、大好きだよ。
ジィっ・・・
「すずもフクのこと、だぁぁぁぁいすき!」
ジィっ・・・
同じほうを向いて。同じほうを向いて。
フク(鰒太郎)

「すずフク漫才『お正月のごちそう』」
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「一度やってみたいピアノのアレ」
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「あんのんねーフクねーあんのんねー・・・すずちゃんのことねぇ・・・だいすき!」
https://bobingreen.com/2024/04/27/9126/
「すずフクコンビの急速充電ソング – リンくんが入院した その3」
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「すずフク、至福のエンチョータイム」
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「フクはすずちゃんとお花見がしたいの」
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