ボブ毛の絆を知る

ふわぁーぁ・・・おはペン!・・・ン?

朝、目が覚めたら、おフトンの上に、にょろんとした、青い毛のようなものが落ちていたの。

“おフトンの上に落ちていた、いっぽんの青い毛”

コペンギンのハンペンです。

「この青い毛は、だれかさんの抜け毛だね?えーっと・・・。」

我が家で青い毛を生やしているのは3人。ボブおさん、ぼこちゃん、ボブぞくんのライオン三兄弟だ。わたしもこのおうちに来て初めて見てびっくりしたのだけれど、この三兄弟のたてがみとしっぽは、赤・青・黄色・緑の4色ミックスで、超カラフル、ド派手なんだ!

この毛が落ちていたのは、ボブおさん&ボブぞくんの寝床のすぐそばで、ぼこちゃんは離れた居間のソファで寝ていたから違うはず。おのずと、ボブおさんかボブぞくんの、ふたりのうちのどちらかになるんだと、思う。

“ボブおさん&ボブぞくんの寝床のすぐそばで見つけたの”

ハテ・・・?

わたしには判断がつかないから、ふたりに直接、聞いてみたの。

「この青い毛を落としたのは、ボブおさんですペン?」

「いいえ、おれの毛ではないよ。弟のボブぞの毛でしょ。」

ボブおさんは、手に取るまでもなく、アッサリと否定をした。自分のたてがみではないという。

“この青い毛を落としたのは、ボブおさんですペン?”

「えーっと、じゃぁこの青い毛を落としたのは、ボブぞくんですペン?」

今度は、ボブぞくんに聞いてみる。

「うんにゃ、おでの毛じゃないよぉ。ニーちゃんのだと思う。」

ボブぞくんも自分のものではないと言う。

“うんにゃ、おでの毛じゃないよぉ”

わたしは向き直して、ふたりに向かって問いかけた。

「うーん・・・?じゃぁ、この毛はどうしたらいいですペン?」

「うむ。抜けたボブ毛は仮に元の持ち主がだれのものであっても、最後はボブぞにマープするって決まってるんだよ。」

「マープ・・・?」

「そうそう、マープ増毛法ね。だから、ハンペン、おでにマープしてくれるかな?」

わたしが不思議な顔をしていたら、ボブおさんがかいつまんで説明してくれた。

つまりこういうことらしい。

ボブ家三兄弟のフッサフサでカラフルなたてがみ(通称”ボブ毛”と呼ばれている)は、抜けやすくって、最近では珍しくなったけれども、昔、そう彼らがまだ赤ちゃんの頃は頻繁にあったらしいんだ。最初の頃は抜けた毛を集めては他のオハナ(家族)に移植したりしてたんだけど(どおりで、ゴロオさんのモヒカンアタマやシジマルさんのしっぽ、ハチまるのしっぽはカラフルだったんだね)、この頃ではたくさん抜けることもないので、万が一抜けた場合は全部ボブぞさんのたてがみとして還ることに決めたらしいよ。

「なんでボブぞさんって決まったペンか?」

「赤ちゃんの頃、いちばん抜けちゃったのがボブぞだったからね。だから、大事にしてるの。」

「へぇ!わかったペン。承知だペン。」

抜けたボブ毛のルールを聞いて、わたしは、なんだか妙に納得したんだ。

ライオンのボブ家三兄弟って、ひとりひとりは顔も性格も違うけれど、3人でひとつでもあるんだね。3人で支え合って、分け与えあって、共有してる。

「ライオン3人は仲良しでいいペンねー!兄弟がいてうらやましいペン!」

わたしが何気なしにそう言うと、ボブおさんが真剣な表情でわたしの目をジィっとのぞきこんできた。優しいライオンさんだって、知ってはいるけれど、まだ慣れてないから少しキンチョーする。

「ハンペン。いいかい。お前さんももう、うちのオハナ(家族)じゃないか。確かにきみはコペンギンで、ライオンではないかもしれないけれど、おれは、おれの弟や妹と同じように、ハンペンにも大事なものを一緒に分けたいな。・・・おっと、だからといって、ハンペンはボブ毛はいらないよな?アタマの上に生やしたらまるでオバQかO次郎になっちまうもんな!アハッ!」

「・・・!わたしはっ・・・毛は・・・いっ・・・いらないペン!!!」

大変!Suicaのペンギンのはしくれでもあるわたしがもし毛を生やしてオバQやO次郎になっちゃったら、世の中のコペンギンたちが騒ぎ出すもの・・・!

「でも。家族って言ってくれてどうもアリガトペン。わたし、じゃぁ、ボブぞくんにマープしてあげるペン。」

“ボブぞくんにマープしてあげるペン”
“もともと生えてるボブ毛に結びつけるのがマープ増毛法”
“ハンペン、施術中だペン”

アハハハハッ!
アハハハハッ!

となりでボブぞくんもうれしそうに笑っていた。

わたしはこのおうちに来て早々にボブ毛の絆を知ることになった。
それから、ライオンとペンギン(とそれ以外にもたくさんのどうぶつたち)と、ニンゲンが一緒にひとつ屋根の下で暮らす、不思議なおうちが、どうして成り立っているのかについてもちょっとだけわかってきた。

「やれやれ。まだまだ世の中には知らないことがたくさんだペン。」

わたしの人生(ペン生)はまだ始まったばかり。

「オハナがいるってうれしいペン!」

ハンペン

“オハナがいるってうれしいペン!”

「ボブ毛の落としもの」
https://bobingreen.com/2022/10/28/2898/

「マープボブ毛」
https://bobingreen.com/2020/07/28/520/

※参考
藤子・F・不二雄 先生『オバケのQ太郎』
https://www.shogakukan.co.jp/pr/fzenshu/lineup/obakeno_qtaro/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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