はこぶねではこぶよはこねへ
モビモビ!モビモビ!
モビスケ初の、はーこーねー!
我がボブ家の愛車、モビスケ出動!
オハナ(家族)を全員乗せて、ゆくよ。
さぁ、ボブ家のはこぶね、はこぶよはこねへ!
(ボブ家の方舟、運ぶよ箱根へ!)
フクこと鰒太郎です。
えっと、まだまだウサギもどき継続中の、ぷくぷくの白いアザラシだよ。
今日はね、はこね、ってところに来たんだ!
急にケンポのホヨージョ(健保の保養所)にキャンセルが出たらしく予約が取れてね。それで、平日の早朝に起きて、愛車のモビスケに全員で乗り込んでやってきた。
駐車場にモビスケを停めてから、街の方へ下りて、ちょっとおさんぽだよ。
「ねーねー、はこね、ってココ、ドコ?フク、来たことある?」
わたしはリンくんに抱っこされて、独特の町並みを進む。リンくんってば、朝からずっとニヤニヤが止まらない顔のまま、人の話を聞いてるんだか聞いていないんだか、わからない。
「ねーねーってば?はこねって何があるの?」
「うふふ、うふふ。フク、あのね、はこねにはおいしいものがあるんだよ。ホラッこれこれー!」
ン?とフシギに思って見てみると、リンくんは、茶色くて、細長い木の棒についた、まぁるまるとしたモノを手に持っている。
ホカホカと湯気を上げていて、香ばしい香りがわたしのお鼻をくすぐるの。
「クンクン・・・いいにおいーーー!」
それからその隣には、琥珀色のシュワシュワした液体が、透明のカップになみなみと入って、パチパチと音をさせている。
「カンパーイ!大好き大好き籠淸さん!フク、おさかなのすり身をたっぷり使った揚げかまぼこだよ!今店員さんが揚げ直してくれたから熱いよ、気をつけて。ホラッ、あーん!」
ひゃぁ!そりゃあ、おいしそうだ!だってわたし、おさかなには目がないもの!あのね、フクはね、ウサギもどきだけどね、アザラシだからね、あのね、おさかなが大好きなのー!
「やったぁ!いっただっきまーす!」
カプッ・・・!もっぐもっぐもっぐもっぐ・・・
「んまーーーーぁい!」
リンくんもパクッとひとくち頬張り、すぐに追いかけるように、琥珀色のシュワシュワをうまそうに、それはうまそぉおおに、グビッと飲んだ。
「ひぃー!このハイボール、うまぁぁぁぁ。なんじゃこりゃ。籠淸さんは、ハイボールまで美味しいのか・・・!」
どうやら、ハイボール、という飲み物らしい。どうせリンくんとケンイツエンチョーのことだから、アルコールに決まってる。
わたしはこのニンゲンたちと毎日一緒に暮らしているけれど、この飲み物はよく知らなかった。
「このシュワシュワパチパチ、なぁに?」
「ハイボーォル。キリンのウィスキー陸っていうのを使ったハイボールらしいけど、久しぶりにこんなにハイボール美味しいって思った。」
リンくんいわく、ちょっと前、コロナっちゃんってやつが流行ったりする前の、以前カイシャインだった頃の飲み会とかでは、このハイボールってやつばっかり飲んでいたらしい。だけれど、ここのところのおうち飲みではウィスキーを買うことはなかったからずいぶんとご無沙汰だったんだってさ。
「フハァ・・・。ほんっと美味しいわ・・・。揚げかまぼことハイボール、こんな贅沢ないわぁ。」
リンくんは笑顔がこぼれまくって、ダダ漏れダルダル状態だけど、隣にいるケンイツエンチョーはキンチョーした面持ちで、一生懸命スマホでポチポチなにかしている。
「フク、エンチョーはちょっとオシゴト中だから、シィーね。わたしと一緒に静かにおしゃべりして飲んでよ?」
エンチョーは、流行りのワーケーションってやつ?いや、お休みは取ったんだけど、平日だから急ぎの連絡が来ちゃうんだって。それでもいいからって、連れてきてくれたんだよね。
駅前のビルの二階から眼下を眺めると、アッチもコッチもソッチも外国人だらけだ。ついさっきもリンくん、施設の入り口で係員さんがコトバわからなくて困ってるのを横から口を出してたみたい。
「さっきさ、なんて言ってたの?」
「あー、ヨーロッパっぽいコトバを話してるグループがいてさ、施設の係員さん、そのコトバはおろか英語も微妙っぽかったから、ちょこっとだけおせっかいしただけ。受付どこ?って聞かれてたっぽいから、メイビィ、レセプションイズオーバーゼア(Maybe the reception is over there.)、それだけよ。」
「へぇ、なになに、リンくん、人の役に立ったの?」
「いやぁ、どうだろ、一応通じてたっぽいから、まぁ良かったかな?ほら、ニッポンにせっかく来てくれたなら好きになってほしいじゃない?」
「アハハッ!リンくんが人の役に立つことってあるんだねぇ・・・。」
「なんと失礼なっっっ・・・!ま、でもフクからすれば、わたしがカイシャインやってたころの姿とか知らないもんねぇ。今じゃあ・・・毎日毎日おうちで寝ぐせつけたまま部屋着で家をウロウロ、メシタキ係するかパソコンに向かってカタカタしてるか、写真撮りまくってるか、くらいしか見てないもんね・・・。スミマセンねぇ。」
「ふーん。フク、そんなのどーでもいいよ。リンくんはオハナ(家族)のこと一番に考えてさ、フクたちのことをちゃんと世に出してよねー?その上で、リンくんも世に出られたら・・・いいねぇ・・・。」
「そうそう。合ってる、合ってます。フクは、やさしいようで厳しいこと言うねぇ・・・。だから、毎日一緒にいるでしょぉ?毎日ブログ書いてるでしょぉ?いろいろ、頑張るよぉ。」
ほろ酔いでそんなことをおしゃべりしているうちに、ケンイツエンチョーも一旦スマホを置いた。
「しっかし、このハイボール、めちゃくちゃうまいな。もう一杯いくか!」
「わーい!」
これまでに食べたことのない、揚げたてほやほやホッカホカの揚げかまぼこ。
結局、玉ねぎ入り、海老入り、それからチーズ入りの3本をニンゲンふたりと一緒に分け合って、絶品のキリン陸ハイボールを1杯ずつ飲んだ後に、追加でもう1杯を頼んで、仲良く順番にクピクピと楽しんだ。
「だいすっきだいすっき籠淸さん!」
「フクも気に入ったよ!だいすっきだいすっきカゴセイさん!」
あー楽しい。
なぁんだ、はこね、おいしいものがあって楽しい場所だってわかった!
店を出ると、特急電車が到着したのか、箱根湯本の駅前にはさらに人出が増えていた。大きなスーツケースをガラガラと引く観光客にまみれて、わたしたちは、お宿へと歩いて戻ったのだった。
宿の駐車場で待ちわびたモビスケにご挨拶をすると、ここぞとばかりに、フフンとH(HondaマークのHのところだ)の鼻を鳴らしてきた。
(おれ、ちゃんと方舟のシゴトしただろ?オハナ全員を無事にチーバから箱根まで運んできたんだぜ!)
「モビスケ、ありがと。またあしたの朝、よろしくね。」
わたしたちはモビスケに感謝のコトバをかけてから、宿の入口へ向かった。
はこぶねではこばれたよはこねへ。
(方舟で運ばれたよ箱根へ。)
さぁ、今夜はゆったりのんびりを決め込もうよ!
フク(鰒太郎)
籠淸 箱根湯本みつき店
http://www.kagosei.co.jp/shoplist/07_mitsuki.html