あんのんねーフクねーあんのんねー・・・すずちゃんのことねぇ・・・だいすき!
「あんのんねーフクねーあんのんねーえーっとねー・・・?」
「ン?フクどしたの?」
「アッ…!えーっとねー。あんのんねーフクねーあんのんねーえーっとねー!すずちゃんのこと・・・!」
「うん?ずずのこと?」
「・・・すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
アハッ!そっかー!フクはすずのこと好きなんだ?
「アッ!えーっとねぇー・・・、あんのんねー・・・!」
うふふ。フクってば、どしてそんなにもったいぶっていうのかな?
だってね、すずはね。
「あのねー!すずねー!あのねー!フクのことねー!・・・だいすきっっっっっっっっっっ!!!」
ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
すずがサラっとそう言うと、部屋中にフクの歓喜の雄叫びが響いたよ。
ウサギのすずこと鈴之助です。
アザラシのフクこと鰒太郎とすずは、仲良しコンビなんだ!でもね、フクってばねぇ、ちょっと奥手なところがあってね。
すずのこと大好きで片時も離れたくないくせに、なかなか好きって言えなかったりするしね、それから、すずが鳥さん探しのお散歩へひとりで出かけちゃうとき、お留守番のときにちょっと強がってみせるんだ。
「すずちゃん、また鳥さんに会いにお出かけしちゃうの?フク、さみしいな、さみしいな。さぁみしぃなぁぁぁぁぁ。・・・でもね、でもね。でぇもぉねぇ・・・。フクは、ヘーキだよ!すずちゃんの帰り、待ってるね。帰ってきたらいっぱい遊んでくれる?」
「もぉちろんだぁよぉ!フク、ちょっとだけ、待っててね。鳥さん探ししたら、帰ってくるからね。おみやげ、フクの好きなもの買って帰ってくるからね。」
「ウンっ!ぜったいね!」
さみしいのかさみしくないのか、結局のところはわからないけれど、うーんっと多分、フクなりの精一杯の強がりなんだと、すずは思ってるんだよね。
だから、フクが待ってるから、すず、どんなにめずらしい鳥さんに出会えたとしても、暗くなる前にはおうちに帰るようにしてるの。
「フクぅ、ただいまぁぁぁぁぁっ!」
すずがおうちに帰ってきて、そう言って真っ先にフクのもとに駆け寄ると、いつだってフクは暖かく迎え入れてくれるの。
「すずちゃァァァァァん!おかえりなさい。鳥さんには会えた?」
フクなりの優しさでもあるけれど、むしろ、数時間の離れ離れのさみしさを蹴散らすためのスイッチなんだろうね。
「うん、鳥さん、いたよ。」
もしくは
「ううん、今日はね、鳥さん、あんまり会えなかったよ。」
答えはドッチでもいいの。ただ、今は、目の前に、おうちでお留守番をしてくれていたフクがいて、すずはこのおうちに無事に帰ってこられたってことを今、確認しているのだから。
「フク、会いたかったよ。」
そう言うと、フクはニヤリ、とちょっとだけ口を歪ませて答える。
「フクも、フクも!フクもね、すずちゃんに会いたかったよ。」
うふふ。フクは感情表現があんまり得意じゃないのかもしれないけれどね。
あんのんねー、すずはね、フクのこと、大好きだからね。
いつだって、一緒。いつだってぴっとし。いつだってふたりでひとつ。
すずとフクはふたりでコンビ。
仲良し仲良し!
ね?フクっ!
・・・ニヤリ。
目の前のフクは無言で口を歪ませて笑ったのだった。
そんなフクが大好きだよ!
すず(鈴之助)
「おててのもふもふともふもふ」
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