ローズヒップのお楽しみ

みなさん、ごきげんよう。ライオンのボブこよ。
わたくし、今日はね、”秘密の花園”、お気に入りのバラ園をおさんぽしに来たの。

“秘密の花園、お気に入りのバラ園に来たの”

このバラ園には去年の秋シーズンに初めて来てからというもの、大好きになってしまってね。かれこれ、それぞれのシーズンに何度かずつ訪れては季節の移り変わりを楽しんでいるの。特に春のハイシーズンのときには、3度も来たわ!その後もあじさいを観に来たのを最後に、ブンブンのハチが怖くて夏の間は避けてしまっていたの。そんなわけだから、数か月ぶりのバラ園だし、秋バラのシーズンが到来していると聞いたから、とってもワクワクなの。

ご存じの通り、バラはその花が美しく、その満開を迎える季節の誇り高き姿は当然のごとくすばらしいの。華やかなアーチを形作るつるバラに、大輪の花を力強く香らせる王道の木バラたち。小ぶりで繊細に彩るオールドローズ。色だって多種多様で、赤系だけでも数えきれないほど。口紅のようなスカーレット、深紅に、茶みがかったチョコレート色、ショッキングピンクにペールピンクにサーモンピンク、そして桜色。つい、バラというのは花を楽しむもので、その色香を愛でるものだと思い込んでいた。

でもね。
これまで知らなかった楽しみに、わたくし、今日、気が付いてしまったの。

それは、ローズヒップ。
つまり、バラの実のことなの。

秋にしか見られないそのまあるい可愛らしい実をひとつひとつ探して愛でる楽しみを知ってしまったの。当然、このバラ園ではローズヒップを摘むこともできなければ触ることさえためらわれるけれど、この数えきれない木々のさまざまな実たちを、集めてみたいと思った。
大きいの小さいの、赤いのにオレンジ色や黄色いの。細長いの、まん丸いの。おどろくほどに、その形は違って、おもしろい。

“秋のバラ園のお楽しみ。ローズヒップ”
“「ツル・アイスバーグ」”
“「ロサ ダマッセナ」オールドローズの一種 “
“京成バラ園最古の株でできたアーチ。春は花で彩られる”
“「フランソワ ジュランビル」このバラ園最古の株といわれているその木のローズヒップ”

このバラ園を歩くたびにね、好きなものが増えていくの。

バラの木いっぽんいっぽんに人格(”バラ”格)があるように見えてくるのがとってもフシギ。派手で目立ちたがりで大げさな身のふるまいをするスター性の強い人もいれば、歴史と伝統を感じさせる高貴さと内面の強さをにじませる人もいる。これまではその”バラ”格を、花の咲きぶりで見分けていたのだけれど、ついに実を眺める楽しみを見つけたものだから、その妄想遊びがさらに複雑になった。細くて小さな木に実るローズヒップの粒が決して小ぶりとは限らない。逆に、花を楽しむために品種改良を繰り返されたものなど実をうまくつけられないものもいるという。

“「アライブ」”
“「メベリュー ナタリー ニペルズ」”
“「丹頂」”
“「アスピリン ローズ」”
“「ベビー ロマンティカ」”
“「ピンク ヘイズ」”
“「プリンセス ドゥ モナコ」”

リンの腕に抱っこされながら、バラたちのひとりひとりの奥深さに感銘を受けながら、ゆっくりとゆっくりと園内をぐるり歩き回った。

ようやく入口の近くの方へ戻ってくると、見慣れない建造物とともに、係員さんの声がした。

「どうぞぉ!」

今年の秋バラシーズンのアトラクションのひとつ、バラで彩られた”アリスのブランコ”。子供たちが楽しそうに乗ってママさんたちが写真を撮っている。最初は子供たちに混じって順番待ちする勇気がなかったけれど、気になってもう一度通りがかったら、係員さんがね、わたくしの目をしっかり見て、言ってくれたの。

「どうぞ!」

幸いなことに順番待ちの列はゼロ。優しい係員さんにすすめられて、リンと近寄ってみる。

「ボブこさん、バラのブランコ乗ってみる?」

「!!!モチロンよ!乗るわ!」

うふふ、人生(ライオン生)初めてのブランコ、大好きなバラ園で、こんなバラたちに囲まれて乗ることができてうれしかったわ!

ゆらりゆらり、フワリフワリと、ここちよしなの。

“アリスのブランコ”
“フワリゆらりとここちよし”

ピウピウと鳥が鳴き、パシュパシュと噴水の音が聞こえる。ベンチに腰掛けてその音を耳に楽しみ、周りのニンゲンたちを観察する。

黒々とした立派な一眼レフを肩から下げるカメラマン。
ベンチで肩を並べるかわいらしい老夫婦。
色とりどりのバラのプリントが入ったブラウスを着たブロンドの女性。

わたくしとリンも、そんなニンゲンたちに交じって、ゆったりとバラの時間を楽しんでいる。ライオンを連れたニンゲンと、ニンゲンに抱っこされるライオン。わたしたちふたりを繋いでいるのは、バラの絆だ。

秋の日は本当に短い。時計は2時半頃を指しているけれど、もうずいぶんと園内の世界は黄色い光に彩られている。

ふんわりと鼻をくすぐるバラの香り。秋の柔らかい陽射しが、わたくしとリンの影を作り出す。色づく桜の木からハラハラと葉がバラの木の上に落ちて、すてきなコラボレーションを生み出している。

「ボブこさん、寒くなってくる前に帰ろっか。

ありがとう、バラ園。好きなものを増やしに、またすぐ、来るね。

ボブこ

「Joy of Rosefull Garden(ジョイ・オブ・ローズフル ガーデン)
 ハートの女王の展望台とアリスのブランコ」
https://www.keiseirose.co.jp/garden/event/

京成バラ園
https://www.keiseirose.co.jp/garden/

Rin注: 過去のバラ園おさんぽのおはなしはこちらから↓↓↓

「プリンセスボブコ」
https://bobingreen.com/2021/10/30/1337/

「秘密の花園へのパスポート」
https://bobingreen.com/2022/05/09/1950/

「バラの香りの絆」
https://bobingreen.com/2022/06/10/2128/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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