プリンセスボブコ
みなさん、ごきげんよう。ボブ子よ。
アタクシ、キレイなお花が大好き。お花畑に行くと自然と優しい気持ちになるの。ケンイツエンチョーにお願いして、季節ごとに公園やお花畑に連れて行ってもらうのが楽しみなの。
これまでアタクシが知っている、夏のひまわり畑や、秋風にそよぐコスモス、新緑の木々や、しんと静まり返る竹林、真っ赤に染まる山々の紅葉、そして、何よりも大好きな桜のドーム。それらすべてと全然違う魅力のあるお花だっていうの。
それはね、生まれて初めての、バラ園!今はオータムローズの季節で、土日限定で「おはようローズガーデン」っていう早朝開園をしているっていうから、とっても早起きしたの。
だって、朝早くならまだ人が少ないから、ライオンのアタクシがこっそりバラ園を歩いていても人を驚かせずに済むでしょう?
おはようさん。ボブ子さん、なんだかごきげんだね。
うふふ、ケンイツ、おはようさん。だって、バラは初めてだもの。楽しみなの。
朝7時半頃、バラ園の入口に到着。前日に買った前売り券で、みんなで入場。
ニンゲン1人と、ライオン3人と、ニンゲンの形をしたライオン見習い1ぴきですねー。はーいどうぞー行ってらっしゃいませー。
青空は見えないけれど、雨降りじゃなくて良かったね。
そうね。そうね。雨降りだったらこうやって歩けないもの。うふふ。
アタクシはというと、もうさっそくバッグから出て、リンの手に抱っこしてもらったの。だって、いーっぱいいーっぱいバラを観たいもの!
ボブ子さん、トゲには注意してね。
はーい。
リンくん、転ばないでね。ボブ子さん抱っこしてるんだからね。
はーい。
ケンイツエンチョーは道案内。ボブ男兄さんとボブ三はエンチョーとお散歩。アタクシはリンに命を任せて、バラ園の小径をぐんぐんと歩き進む。
バラ園はいまオータムローズのイベントが目白押しで、昼間の通常の開園時間になると、アリスのティーパーティーのような演出を楽しめるんですって。それにハロウィーンのしつらえもあって、とっても可愛らしい。でも、まだ朝早いから、準備中。
うさぎさん、おはようさん。
ハロウィーンのしつらえもたくさん。可愛らしいわね。
そして、見渡す限りの色とりどりのお花たち。黄色、サーモンピンク、深紅、白。大きい花弁から小さいものまで、いろんな種類のバラが植わっていて、とっても見ごたえがあったの。ちょっと和風な椿っぽいお花もあれば、桜の木も植わっていて。春バラの季節は桜も咲くのねぇ、この木は何かしら?なんてずぅっと興味シンシンなの!
広い園内をくまなく歩いていると、たまにハチさんがやってきて、ブゥーンとあいさつをしていく。
ボブコちゃん、おはよう、って言ってるみたい。
あら、おはようさん。静かに観てるだけだから、どうか私たちのこと刺さないでね。
ブゥーン(了解!)
これはなぁに?
入口付近の一角に、特に大事そうに植えられている木々たち。
『プリンセスミチコ』、だって!あ、こっちには『プリンセスアイコ』も。
!!!プリンセスローズってこのことね。なんだかロマンティックねぇ。美しい色なのね。
ボブコは我が家のお姫さまだから、プリンセスボブコだね。
うふふ、アタクシ、バラ好きになっちゃった。
プリンセスボブコ、は何色かな?
そうねぇ。もう少しおネーさんになってから、決めようかしら。
通常開園の時間間際までお散歩をして、すっかりゴキゲンな朝。エンチョーが用意してくれたひとくちサイズの泡でカンパイ。
生まれて初めてバラ園に来てみて、ライオンのアタクシにだって、バラの花のステキさがわかったの。これだけ色鮮やかに花をつけることがどんなに大変なんでしょう。
アタクシも、こんなに色鮮やかなお花を咲かせられるように、美しい心のライオンでありたいわ。
ねぇ、ボブコ、トゲはやめてね。抱っこできなくなっちゃう。
うふふ。うふふ。
ボブコ