富士山ドーン! — 富士山本宮浅間大社へお詣りする
「ふっじっさん!ふっじっさん!たかいぞたかいぞふっじっさん!」
電気グルーヴの『富士山』のリズムがアタマから離れない。
「ふっじっさん!ふっじっさん!たかいぞたかいぞふっじっさん!」
リンくんもケンイツエンチョーもゴキゲンで一緒に口ずさんでいる。
「ふっじっさん!ふっじっさん!たかいぞたかいぞふっじっさん!」
富士山ドーン!
青空のもと、おれの目の前には立派な赤い鳥居。その向こうにはでっかい富士山がそびえ立っている。
日の丸がハタハタと風にたなびき、絶好の行楽日和、五月晴れだ・・・っていやいや、違う。今日はね、まだ4月も中旬なんだよ。でもまるでゴールデンウィークみたいなさわやかな気候だ。
オトモダチのみなさん、こんにちわーに。
おれ、ライオンのボブおです。
おれは神社巡りが好きなんだけれどね、今日は念願かなって「富士山本宮浅間大社」にやってくることができたの。
リンくんもケンイツエンチョーもお初なんだって!
みんなで富士登山はできないけれど、富士山の神さまにお詣りすることはできるよねって話で、電車を乗り継いで、シズオーカ(静岡県)は富士宮までやってきたよ。
JR富士宮駅からはのんびり歩いて徒歩15分くらいだろうか。道幅の広い商店街を抜けて案内板の通りにやってくると、そこには大きな赤い鳥居と雲の笠をかぶった富士山がドーンとお出ましになられた。
広い駐車場にはぽつりぽつりとクルマが停まっているものの、さほど混雑しているわけではない。
「とーちゃぁーく!」
赤い鳥居*をくぐると、整備された長い参道に入る。雲ひとつない青空のもと、ピンク色の濃淡鮮やかなツツジが見事に咲き誇っていて、すっかり初夏の雰囲気だ。
(*おうちに帰ってきてから知ったのだけれど、おれはこの駐車場にある赤い鳥居が一の鳥居なのかと思っていた。けれど、実はコレは二之鳥居だったらしい。一之鳥居は「静岡県富士山世界遺産センター」の近くに立っているらしく、おれらは見逃してきてしまった。残念。)
流鏑馬像を横目に三之鳥居をくぐると、目の前に真っ赤な門がお目見えした。二階建ての楼門だ。「富士山本宮」の文字が金色で刻まれている。
「くぅー!派手!いいね!」
おれのたてがみを見たら誰しもが理解してくれると思うけれどね、おれは派手好きなんだ。
「あーか、あーお、きいろ、みどり!」(赤、青、黄色、緑)のカラフルなたてがみがおれらライオンボブ家の象徴だからな!
「わぁお!こりゃあカッコいいぜ!」
「お清めしていこうね。」
手水舎に立ち寄り、「奉納」と書かれた柄杓を右手に持つ。あぁ、おれの小さなライオンのカラダにはこの柄杓は長過ぎる。仕方なし、リンくんに抱っこされたまま、手と口をすすいだ。
「ほう・・・!」
楼門を抜けると目の前には拝殿が鎮座していた。
これまた朱塗りの豪勢な入母屋造りで、大きくせり出した屋根部分には獅子や龍の彫物が施されている。
平日ということもあって、先客は数名といったところ。境内には清浄な空気が漂っていて、清々しい気持ちになる。
右手にある社務所にて、御守を一体いただく。
我が家では普段からお詣り前に御守をいただくことにしている。それを持って一緒に神さまにご挨拶をするようにしているんだ。この御守に神さまの気を封じ込める、みたいな感じ。
(作法には諸説あるので正しいとは限らないです、あしからず)
「では、いきますか。」
前の参拝客が礼を終えたところで、すすすっと拝殿の前へ歩みを進める。
チャリン・・・
(せーのっ)
ペコッ・・・ペコッ・・・
パンッ・・・パンッ・・・
・・・
ペコッ
・・・ふぅ。
ライオンだって二礼二拍手一礼するんだよ。
「考えてみればさぁ、境内に入っちゃうと富士山見えないんだね?」
リンくんがもそっとつぶやく。
「あぁれぇ、ホントだね。この奥に本殿があって、さらにさらに富士山頂上には奥宮があるんだもんね。拝殿越しに富士山が見えるわけじゃないんだなぁ!」
この富士山本宮浅間大社の御神体はほかでもない富士山。ちなみに御祭神は、木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)といって、別称は浅間大神(あさまのおおかみ)というそうだ。
「リンくん、木花之佐久夜毘売命のこと、知ってる?」
「うぅーん、、、古事記で読んだ記憶はあるけど、忘れちゃった・・・。」
リンくんに聞いてみたけれど、全然覚えてなかったよ。アハッ!
浅間大社は、富士山の噴火を鎮めた御神徳により崇敬を集め、富士山信仰の広まりと共に全国に祀られた1300余の浅間神社の総本宮と称されるようになりました。
富士山本宮浅間大社 公式サイトより引用
http://fuji-hongu.or.jp/sengen/history/index.html
その噴火を鎮めた御神徳が木花之佐久夜毘売命ってことだね。
「へぇ、それからね、御神木が桜の木なんだってさ!珍しいねぇ!」
それで境内には桜の木がたくさん植えられているんだね。すでに桜の時期は過ぎてしまっていたけれど、花の時期に来たらキレイだろうなぁ!
ちなみに、楼門、拝殿、拝殿の奥にある本殿ともに、徳川家康が関ヶ原の戦いに勝利した御礼として寄進したものなんだそうだ。
「まじかー!ここでも家康オジサン登場!」
アッ・・・失礼。
おれは派手好きな徳川家康公にシンパシーを感じていてね、おれが赤ちゃんの頃から「家康オジサン」って愛を込めてそう呼んでいるのだよ。
「金ピカの上野東照宮にしても、朱塗り(丹塗り)のこの富士山本宮浅間大社にしても、いやぁ見事な派手さだね。」
当然本殿は正面から見ることはできないので、横からチラリと。「浅間造り」といって2階建てで他にはない構造の建物になっているそうだ。
御神酒の樽を横目に、「ヒメ通信」なるA4サイズのお便りも置いてあったのでいただいてきたよ。
(ちなみに、4月号の内容は、4月の行事案内に桜の紹介、それから「神職おすすめ富士山本紹介」、境内でみられる野鳥の紹介、となかなか盛りだくさんだった。)
お詣りのあとは、境内を散策。
「湧玉池(わくたまいけ)」という場所が有名らしい。なんといっても霊峰富士の雪解け水が常に湧き出ているそうで、身を清める場所でもあるそうだ。
「池?!御池にハマってさぁ大変!にならないようにしなくっちゃ。」
おれらは水辺がニガテだから、トートバッグのなかに入ってしっかりケンイツエンチョーに抱きかかえてもらって、池の近くを散歩する。
水がこれでもかと透き通っていて、底面にびっしりと生えている水草の緑色が美しく輝いて見えるんだ。富士山の神聖な水の中では鯉が優雅に泳いでいて、なんだか神々しく見えてきてしまうのが不思議だ。
湧玉池のお散歩を楽しんだ後は、再度楼門をくぐって、来た道を引き返す。
二之鳥居まで戻ってくると、ようやくまた富士山と対面することができた。雲の笠は移動して、あと少しで頂上を拝むことができそうだ。
「よぉーボブおー!お詣りのあとは、御神酒だろ?」
ケンイツエンチョーはそういうとJR富士宮駅の方向とは反対に歩き始めた。
「この先にね、酒蔵があるらしいんだよ。行ってみない?」
「アハッ!もう向かってるでしょ!」
そりゃあそうさ、お詣りのあとのお楽しみはいつだって御神酒!富士宮のお酒はどんなかなー?
レトロなお店が立ち並ぶ「大社通り宮町商店街」というアーケードを進んでいくと、初夏の知らせを目にすることができた。
ツバメさんたちだ!
もうそこいらじゅうをバンバン飛び回って、とっても忙しそう。ちょうど軒先に巣づくりをして子育てをしている時期のようだ。
駅から離れていく場所にあるこの商店街には、観光客の姿もなければ、地元民もさほどは歩いていない印象で、まぁ言ってしまえば、閑散としている。うーん、だからこそ、ツバメさんたちには格好の場所なのかもしれないね。
富士山本宮浅間大社から歩いて約15分くらいだろうか。カッコいい日除け暖簾をかかげた古い建物が見えた。赤い丸ポストも情緒があっていいし、杉玉もぶら下がっている。
ザ・造り酒屋、といった風情でこれっぽっちも隙がない。
「意外と歩かせちゃったね、ダイジョブ?」
ケンイツエンチョーがリンくんの体調を気遣う。
「えー!ココまで来たらそりゃあ酒蔵行きたいもん。ゆっくり来たから、ヘーキヘーキ!」
そう、実はリンくん、この前日に鼻血ブー子になっていたのだ。
本人曰く、子供の頃以来あんな鼻血が出たのは初めてだと。原因がよくわからないので、とりあえず慎重に、走ったりはしゃぎすぎたりしないように、そろりそろりとゆっくり歩いてきたのだった。
到着したのは「富士高砂酒造」。創業1830年というから江戸時代末期だね。
日除け暖簾にある「富士山と醸した酒」の但し書きに、唯一無二の貫禄を感じる。
ガラッ・・・
引き戸を開けて店内入ると、ズラァリと酒瓶が並んでいた。そりゃぁ造り酒屋なのだから当然といえば当然なのだけれど、驚いたのはその種類の多さ。「高砂」だけでも10種類ではきかないくらいさまざまなラベルの瓶が並んでいるし、「中屋」という別シリーズでも何種類も作っているようだ。日本酒以外にもリキュール類やウイスキーなども並べられていて、売り場に見応えがある。
「いらっしゃいませ。ゆっくりご覧ください。試飲もできますのでお声がけくださいね。」
店内には客はおれらだけ。そりゃそうか・・・商店街にも観光客らしき姿はなかったもんね。
「ありがとうございます。」
もともとはお詣り後の御神酒のつもりで、一杯だけ店先でいただこうというつもりでやってきたのだけれど、どうやらここは角打ち(※角打ちとは、酒屋の店先で一杯売りするなどして立ち飲みできるシステム)はやっていないようだ。
「角打ちないっぽいね?」
リンくんがケンイツエンチョーにささやくと、ケンイツエンチョーは酒瓶を手に取り、こう言った。
「せっかくだから買ってこうぜ。んで、試飲させてもらおっか。」
さきほどの店員さんに声をかけると、快く試飲スペースに案内してくれた。
「3種類まで無料で試飲いただけるんですが、どの銘柄がよろしいですか?」
ほう!ふとっぱら!
とはいえ、ずらぁり並べられているたくさんの種類から3つだけ選ぶというのも難しく、酒蔵のイチオシっぽい「高砂 山廃純米辛口」と「高砂 山廃純米吟醸 山田錦」を、そして、店員さんオススメの「駿州 中屋 純米大吟醸」をいただいた。
「お水はそちらからご自由に何杯でもどうぞ。」
試飲スペースの奥には富士山の伏流水がコンコンと流れている場所があった。
竹でできた蛇口のことを筧(かけい)、そこから流れる水を受け止める石瓶のことを蹲(つくばい)というそうだ。その筧の口元にプラカップを近づけて、そのままゴクゴク飲める仕様になっている。
「ひゃぁ!贅沢!」
このまろやかな富士山の伏流水を使って仕込んだ日本酒なのだから、おいしいのは当たり前だなぁと納得してしまった。
3種類ともおいしかったのだけれど、特に印象に残った「駿州 中屋 純米大吟醸」の四合瓶と、「高砂 山廃純米吟醸 山田錦」の300ml瓶をいただいて行くことにした。
「300mlのほうはリンパパちゃん(リンくんの父のこと)のお墓にお供え用に。」
ま、結局最後は自分たちの口に入るんだけどね。アハッ!
すっかり富士宮を堪能して、来た道をゆるゆると引き返す。JR富士宮駅に到着する頃にはすでに午後2時前。お昼も食べずに、よくココまで歩いてきたと思うぞ。
「とりあえず帰りますか。」
富士駅近くに取っているビジネスホテルの部屋まで、おれらはたった10分の特急列車に揺られて帰ったのだった。
一度来てみたかった富士山本宮浅間大社へ無事にお詣りを済ませ、御神酒もいただいて、おれは大大大満足!
お天気にも恵まれて、帰る頃には笠雲がかかりがちだった富士山の頂上も拝むことができたんだ!
「アリガトー!富士宮!」
最後の最後まで、やっぱりこの曲がアタマをずぅっとループしていたのだった。電気グルーヴ、やるな!
「ふっじっさん!ふっじっさん!たかいぞたかいぞふっじっさん!」
ボブお
※おまけ
リンくん近影。お気に入りのトラのTシャツ(名前はタラ吉)と富士山を撮りたかったんだって
富士山本宮浅間大社 公式サイト
http://www.fuji-hongu.or.jp/sengen/
富士山 富士山 高いぞ高いぞ 富士山
電気グルーヴ『富士山』
「すぅばぁぁぁらしーい あーさがきた!」
https://bobingreen.com/2026/04/16/21209/
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