すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW – 第15回 ルリビタキさんに会いに来たら…ウソだぴょーん!
「おわー!こりゃあモデルさんだなぁ。アイツ、自分がみんなから撮られてるって、わかってるよね。」
ケンイツエンチョーが、小さな声でささやいた。
「すずね、あのね、ケンイツエンチョーに青い鳥さん見てほしかったの!一緒にルリビタキさん見られてうれしいの!」
「そうだなぁ!やっぱり青い鳥ってのはキレイだな。カワセミさんもいいけど、ルリビタキさんもいいなぁ。」
「そうでしょ?そうでしょ!ルリビタキさんカワイイねぇ!アハー!」
えへへ!
今日もゼッコーチョー(絶好調)!鳥さんだいすきな野鳥レポーター、ウサギのすずこと鈴之助でっす。
さぁさぁやってまいりました。すずちゃんのぉぉぉぉぉっ野鳥にびっくりでSHOWぉぉぉぉぉ!
第15回の今日は、チーバは市川市にある大町自然観察園っていうところにやってきたよ。ココはリンくんがちびっこの頃に何度も来たことがある場所らしいんだけれど、大人になってからはとんとご無沙汰していたらしい。
最近、野鳥観察にハマってからというもの、実はこの大町自然観察園が、知る人ぞ知る、野鳥スポットなんだってことを知ったのね。それで、先週末はリンくんと偵察に来て、それから今週はケンイツエンチョーも一緒にお誘いしてやってきたんだ。
「あのねー!大町自然観察園ってトコ、すず、気に入っちゃったの!あのね、青い鳥のルリビタキさんがいたの!すごいでしょ!すごいでしょ!」
先週末おうちに帰ってから成果をエンチョーにホーコクすると、ケンイツエンチョーも興味もってくれたんだ。
「青い鳥さん、いいなぁ。」
「じゃぁさじゃぁさ、一緒に見に行こう!ね!いいでしょ?」
「おー。頑張って早起きするかぁ!」
そんなわけで、三連休の中日の朝、すずたちが到着したのは朝9時10分頃だった。
開門してからまだ間もないのにもかかわらず、園に入るともうすでにカメラマンさんたちの姿があちらこちらにあった。観察園内はビオトープみたいになっていて、湿地帯に杭を打ち込んで整備された歩道がニョキニョキと張り巡らされている。すずたちは、タテに一列に並んでドラクエ方式で進むと、首から双眼鏡を下げたご夫婦とすれ違った。やっぱり野鳥好きの人たちの間では人気みたい。
お目当ての青い小鳥のルリビタキさんは漂鳥で、11月くらいから3月くらいまで観察できるらしいんだ。
「あのね、あのね、先週も、この木に止まってたの。カメラマンさんたちがね、みーんなでっかいレンズつけたカメラで撮ってて、リンくん、自分のこんなカメラで混じっていいのかなぁなんてボヤきながらも、混じって一緒に撮ったんだよ。」
すずがワクワクしながら話していると、青い影が見えた。
「アッ!!!」
「来たね、来たね。ホラ、そこ。」
言わなくたって、すぐにわかるんだ。だって、まわりにいるカメラマンさんたちの長い大砲みたいなレンズが一斉にそちらを向くんだもの。どんなに鈍いリンくんでも、察知したらしく、ソッコーでカメラを構えた。
カシャカシャカシャ
園内に入って最初に本命のルリビタキさんがやってきて、とってもラッキーなんだよ。でもね、ここでようやくカメラをONにしたものだから、設定がちゃんと合ってなかったらしい。リンくんってば、あれやこれやボタンを押したりダイヤルを回したりして、カメラの設定をいじくっている。
「リンくーん、モタモタしてると逃げちゃうよ?」
「ダイジョブ、ダイジョブ。撮れてるよ!」
心配していたけれど、意外とリンくん、慣れてきているみたいで、焦ることなく、シャッターを切り続けている。ルリビタキさんは、はだかんぼの木の枝に止まって、ジィっとしてくれているの。とっても優しいルリビタキさん。静かに、静かに、できるだけ順光で青い羽根がキレイに移る角度を選んでそぉっと動きながらベストショットを狙うんだ。
「アッ!飛んだ!」
ルリビタキさんはワッと青い羽根を広げて飛び立ったかと思うと、歩道をはさんで反対側、すずたちの背中側にある、近くの蓋をされた配管の上に降り立った。その場所は日なたで、午前中のまだ弱い太陽光のなかでも、キラキラと美しい色を際立たせてくれた。ルリビタキさんのステキなところは、顔から背中にかけての青い部分だけじゃなくて、おなか側に広がる山吹色なんだ。この色の組み合わせ、とってもオシャレだなぁって思うの。もしもルリビタキさん色のマフラーとかあったらすず、巻いてみたいなぁって思うもの!
すっかりルリビタキさんに魅せられたすずたちは、それからしばらく、草むらのなかへ隠れてしまうまで追いかけ続けたのだった。
「はー!ルリビタキさん、見られて良かったねー!」
ケンイツエンチョーに抱っこされながらすずがエンチョーに笑いかけると、エンチョーもうれしそうに笑ってくれた。
「んだなー!もう今日の目的は果たしたな!」
じゃぁ、さぁてこの後はどしようか、まだまだ広い園内、奥の方までぐるっと行ってみるか、帰るかどうか、という相談をしていると、他のカメラマンさんたちがお話している声が聞こえた。
「アッチの水場のほうに、ウソがいるんだよ。」
すずはなかなかリンくんとケンイツエンチョー以外のニンゲンとおしゃべりするのはニガテだ。話しかけるわけにもいかなくて、こっそりと、ウサギさんの長いお耳で人の話を盗み聞きしたの。
「ウソ?」
「なんだろーウソって。」
ハテナ?ハテハテ?とリンくんと話しながら、やっぱり奥のほうまで行ってみることにした。
今日はとっても晴れていて青空もスッキリとしているけれど、ちょっと風は冷たい。特に日陰に入るとグッと冷える感じがする。
さっきのカメラマンのオジサマが言っていた水場、というのは、観察園を超えて、隣の動物園にほど近い池を通過して、さらに遊歩道に沿って流れている小川のことのようだった。柵越しには駐車場、反対側は背の高い針葉樹の林になっていて、日当たりが良いとは言えない場所だった。
その一角に、あからさまに人だかりができていたの。
静かにでもちょっと急ぎ気味に歩みを早めて近寄ると、先客のカメラマンさんたちのレンズの先に何がいるのかを探した。
「ウソ?ってなんだろー?」
さっきからリンくんに何度となく質問をしているのだけれど、リンくんから回答はない。
(「ホラッ!メスがあそこに!」)
ほうほう、まわりのニンゲンたちが連れ合いとしゃべる声はすずたちにとって貴重な解説になるんだ。木の上に止まっているほうがメスらしくて、オスが近くのどこかにいるっぽい。
(「アッ!きたきた!」)
その瞬間、ものすごいシャッター音がたたみかけてきた。
人工のブロックでできた水場にちょこんと、ハトさんよりもすこし小さいくらいの鳥さんがやってきて水を飲みにやってきたのだ。
その鳥さんは、冬のスズメさんよりももっとずんぐりと丸くて、くびれのない体型だった。そして、アタマが黒くて、おなかは灰色で、そして、首もとがサーモンピンク色なんだ。
「うわぁっ!リンくん色じゃん。わたしの好きな色!」
あ。エ?リンくん色って何?だよね。えぇと、解説するとね、リンくん色というのはリンくんの好きな色のことで、サーモンピンク、というべきかオレンジピンクというべきか、そういう色のことなの。どうやら、リンくんは自分の好きな色の鳥さんを見つけてとってもうれしかった、そういうことらしいよ。
すずもウソっていう鳥さんを知らなかったから、ご相伴に預かるキモチで、まわりのニンゲンたちに混じって観察して、うわぁうわぁってコーフンしちゃった!
「すずちゃんのっぉぉぉぉぉっ・・・、ウソだぴょーん!」
うふふ!ウソの名前の由来、あとからリンくんが図鑑で調べてくれたの。古語で「うそ」というのは口笛の意味で、鳴き声が口笛っぽいからそういう名前がついたんだって。おもしろいねー!
「すず、ウソだぴょーん!だったなー!ルリビタキさん見に来たら、ウソだびょーんにも会えてよかったのな!」
ケンイツエンチョーはそういうと、すずのことを抱き上げて、よぉしよぉしナデナデってやさしくしてくれたの。
すずね、リンくんとふたりの野鳥観察もキライじゃないけど、やっぱりオハナ(家族)みんなで同じもの見てびっくりびっくりしたいの!だから、今日はルリビタキさんを一緒に見たあと、期せずしてウソだぴょーん!も見られてとってもうれしかったよ。
「そろそろオナカもすいてきたし、駅に向かおうかね。ドコかでさ、うまい昼メシ食って帰ろーぜ!」
そうそう、あのね、リンくんとふたりのときはコンビニのおにぎりしか食べないけど、ケンイツエンチョーが一緒に来てくれると帰り道においしいランチもできるから、それもうれしいのだーっ。
アハッ!
そんなわけで、すずはこれからゴハン食べて帰るよー。
すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW、第15回は、ルリビタキさんに会いに来たら…ウソだびょーん!でした!
すずの野鳥さん探しはまだまだこれからも続くよ。
オトモダチのみんな、まったねー!
すず(鈴之助)
大町自然観察園 市川市公式ホームページ内
https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000111.html
「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW – 第14回 キツツキさんのコンコンコンココーン」
https://bobingreen.com/2024/02/13/8170/