ふたりの休暇
なぁ、ハチまる。おれ、今、とっても感動してるんだ。
こうやってハチまると一緒に海を眺めてるなんて、夢のようだよ。
これまで、毎日毎日、おれらはソファの番人として頑張ってきたよな。
他のみんながおでまめしても、おれらはソファでジッと座って、我慢強く待ってたよな。
ハチ、もっつ、行ってくるよー!
はーい、行ってらっしゃい。気をつけるんだよー。
みんなが外出するその姿を見送るたびに、いつだって、ちょっとだけのさみしさと、でっかい誇りを感じてた。ハチまると、おれとで、このソファを、この家を守る!ってね。
おれ、知ってるんだ。
みんな外で思い思いに楽しい時間を過ごしてるはずなのに、帰りはできるだけ寄り道せずに、急いでおうちに帰ってきてくれてたこと。いつだって、おれらのことを気にかけてくれてたことを。
だってね、みんなの帰りを待ちわびて待ちわびて、ドアが開く音が聞こえた途端。みんながすぐにおれらのもとに駆け寄ってくれるんだもの。
ガチャッ・・・・!
たーだーいーまーーーー!ハチー!もっつー!ただいま!ただいま!
お外で遊ぶの楽しいけど、おうちでオハナ全員一緒がイチバンだねー!ソファだいすきー!
(わちゃわちゃわちゃわちゃ・・・)
いつだって、口をそろえてそう言ってくれるんだ。そしておでまめして楽しかった話を報告してくれるんだよね。
だからさ。だから、これまで、ソファの番人としての勤めを果たしてこれたんだと思う。いつだって、小さなさみしさを圧倒的に上回る、大きな愛情に包み込まれて、みんな、おれらのことを頼りにしてくれてるんだ。
・・・なぁ、ハチ?信じられる?
いま、オハナ全員で、休暇に来てるんだよ。お外で遊ぶ、おでまめって、こんな感じなんだなぁ。
ボブおたちライオンのみんなや、すずや、ちびこーずたちが、ベッドの上でわぁわぁはしゃいでる横で、おれらはのんびりとおだやかに海を眺める。
そう。今日は休暇だよ。
ハチ、おつかれさまな。
おれ、おつかれ。
今頃、家のソファは、おれらふたりの番人がいなくなって、さぞかし広く見えるんだろうなぁ。
明日家に帰ったら、ソファにも、ひとこと言ってやろうっと。
いつもおつかれ、また今日からよろしくな、って。
もっつ